この記事では、
『源氏物語』54帖の巻名一覧と読み方、
巻ごとの簡単なあらすじを紹介しています。
巻名の覚え方のコツも解説していますので、
参考にしてくださいね😊
源氏物語の巻名一覧と全54帖の読み方
『源氏物語』の巻名 全54帖を表にまとめました。
順番 | 巻名 | 読み方 | 読み方(ローマ字) | 内容 |
---|---|---|---|---|
1 | 桐壺 | きりつぼ | Kiritsubo | 光源氏の誕生と成長 |
2 | 帚木 | ははきぎ | Hahakigi | 雨夜の品定め/空蝉との恋物語 |
3 | 空蝉 | うつせみ | Utsusemi | 空蝉と光源氏の恋物語 |
4 | 夕顔 | ゆうがお | Yugao | 夕顔と光源氏の恋物語 |
5 | 若紫 | わかむらさき | Wakamurasaki | 若紫との出会い/藤壺との密通 |
6 | 末摘花 | すえつむはな | Suetsumuhana | 末摘花と光源氏の恋物語 |
7 | 紅葉賀 | もみじのが | Momiji no ga | 藤壺の出産/老女との好色事件 |
8 | 花宴 | はなのえん | Hana no en | 朧月夜と光源氏の恋物語 |
9 | 葵 | あおい | Aoi | 六条御息所の生霊/葵の上の死 |
10 | 賢木 | さかき | Sakaki | 桐壺院の崩御/藤壺の出家 |
11 | 花散里 | はなちるさと | Hanachirusato | 光源氏、花散里の邸を訪問 |
12 | 須磨 | すま | Suma | 須磨への退去準備と流離生活 |
13 | 明石 | あかし | Akashi | 明石の君との出会い |
14 | 澪標 | みおつくし | Miotsukushi | 光源氏の政界復帰/明石姫君の誕生 |
15 | 蓬生 | よもぎう | Yomogiu | 末摘花の孤独と光源氏との再会 |
16 | 関屋 | せきや | Sekiya | 逢坂の関での空蝉との再会 |
17 | 絵合 | えあわせ | Eawase | 冷泉帝の御前での絵合わせ |
18 | 松風 | まつかぜ | Matsukaze | 明石の君の上京と再会 |
19 | 薄雲 | うすぐも | Usugumo | 藤壺の崩御/冷泉院、真実を知る |
20 | 朝顔 | あさがお | Asagao | 朝顔の君への求愛/紫の上の嫉妬 |
21 | 少女(乙女) | おとめ | Otome | 夕霧と雲居の雁の恋物語 |
22 | 玉鬘 | たまかずら | Tamakazura | 玉鬘の生い立ちと上京 |
23 | 初音 | はつね | Hatsune | 新春の六条院の女君の様子 |
24 | 胡蝶 | こちょう | Kocho | 春の町の船楽/玉鬘を巡る求婚話 |
25 | 蛍 | ほたる | Hotaru | 玉鬘、兵部卿宮に姿を見られる |
26 | 常夏 | とこなつ | Tokonatsu | 玉鬘と近江君の物語 |
27 | 篝火 | かがりび | Kagaribi | 玉鬘と光源氏の禁忌の恋 |
28 | 野分 | のわき | Nowaki | 野分(台風)襲来の物語 |
29 | 行幸 | みゆき | Miyuki | 冷泉帝の行幸/玉鬘の裳着 |
30 | 藤袴 | ふじばかま | Fujibakama | 玉鬘と男たちの物語 |
31 | 真木柱 | まきばしら | Makibashira | 玉鬘と髭黒の結婚/北の方との離婚 |
32 | 梅枝 | うめがえ | Umegae | 明石の姫君の入内準備 |
33 | 藤裏葉 | ふじのうらば | Fuji no uraba | 夕霧の結婚/明石の姫君の入内 |
34 | 若菜 上 | わかな じょう | Wakana 1 | 女三の宮の六条院降嫁 |
35 | 若菜 下 | わかな げ | Wakana 2 | 女三の宮と柏木の密通/紫の上の病気 |
36 | 柏木 | かしわぎ | Kashiwagi | 薫の誕生/柏木の死去 |
37 | 横笛 | よこぶえ | Yokobue | 柏木遺品の笛の物語 |
38 | 鈴虫 | すずむし | Suzumushi | 六条院と冷泉院の鈴虫の宴 |
39 | 夕霧 | ゆうぎり | Yugiri | 夕霧と落葉の宮の恋物語 |
40 | 御法 | みのり | Minori | 紫の上の死と光源氏の悲哀 |
41 | 幻 | まぼろし | Maboroshi | 紫の上追悼の物語/光源氏の出家 |
42 | 匂宮 | におうみや/におうのみや | Niou miya/Niou no miya | 光源氏没後/薫と匂宮の紹介 |
43 | 紅梅 | こうばい | Kobai | 紅梅大納言家の姫君の物語 |
44 | 竹河 | たけかわ | Takekawa | 玉鬘家の姫君の物語 |
45 | 橋姫 | はしひめ | Hashihime | 薫と宇治八の宮の出会い |
46 | 椎本 | しいがもと | Shiigamoto | 八の宮の死去/宇治姉妹との恋物語 |
47 | 総角 | あげまき | Agemaki | 匂宮と中君の結婚/大君の死去 |
48 | 早蕨 | さわらび | Sawarabi | 匂宮と中君、京での結婚生活 |
49 | 宿木 | やどりぎ | Yadorigi | 中君の懐妊/薫、浮舟を知る |
50 | 東屋 | あずまや | Azumaya | 浮舟、薫の愛人となる |
51 | 浮舟 | うきふね | Ukifune | 浮舟、薫と匂宮の恋の板挟みに悩む |
52 | 蜻蛉 | かげろう | Kagerou | 浮舟、失踪/薫と匂宮の悲しみ |
53 | 手習 | てならい | Tenarai | 浮舟、入水未遂/出家 |
54 | 夢浮橋 | ゆめのうきはし | Yume no ukihashi | 薫、浮舟に手紙を書く |
「幻」の後には、光源氏の死を暗示した
内容の存在しない巻「雲隠(くもがくれ)」があります。
「若菜」を上下に分けずに1帖と考え、
「雲隠」を加えて54帖とする場合もあります。
源氏物語の巻名の覚え方
『源氏物語』は54帖もあるので、
全て正しく覚えるのは、なかなか大変ですよね。
次のような語呂合わせを使うと、
順番が覚えやすくなります。
語呂合わせでイメージ化する
巻名に含む文字を入れ込んだ文章を作成しました。
桐壺の母が空を見上げたら夕焼けだった。
1.桐壺 2.帚木 3.空蝉 4.夕顔
末っ子は若くて紅葉と花が好きだ。
5.末摘花 6.若紫 7.紅葉賀 8.花宴
葵さんは賢くて花散里に住まう人だ。
9.葵 10.賢木 11.花散里 12.須磨
明石で身をつくして蓬を摘んだら咳が出た。
13.明石 14.澪標 15.蓬生 16.関屋
絵合わせのテーマは松と薄雲で、
朝顔を持った少女が描かれていた。
17.絵合 18.松風 19.薄雲 20.朝顔 21.少女
玉鬘を初めて見た時に、胡蝶のように美しく
蛍のように輝いていた。
22.玉鬘 23.初音 24.胡蝶 25.蛍
常夏の国で篝火をたき、野原に行くと
藤袴が咲いていた。
26.常夏 27.篝火 28.野分 29.行幸 30.藤袴
柱に梅と藤の葉を飾り、若菜と柏餅を食べた。
31.真木柱 32.梅枝 33.藤裏葉 34.若菜上 35.若菜下 36.柏木
横笛は鈴虫のような音で、夕霧がたつ中
法事が催された。ぜんぶ幻だった。
37.横笛 38.鈴虫 39.夕霧 40.御法 41.幻
良い匂いがしたのは、紅梅が咲く竹の橋だ。
42.匂宮 43.紅梅 44.竹河 45.橋姫
椎茸を揚げて、早蕨を添えて食べた宿は東にある。
46.椎本 47.総角 48.早蕨 49.宿木 50.東屋
水に浮いた蜻蛉を手に乗せて夢浮橋を渡った。
51.浮舟 52.蜻蛉 53.手習 54.夢浮橋
各巻名をしっかり把握した上で、
ここで紹介したような語呂合わせで
巻の順番を覚えていきましょう!
各巻名の意味と由来については、
こちらの記事で紹介しています。
以下に、
『源氏物語』の巻ごとの簡単なあらすじを掲載しておきます。
物語の概要を知ることで、巻名も記憶に
定着しやすくなりますので、ぜひ
あらすじもあわせて読むことをおすすめします。
源氏物語54帖の簡単なあらすじ
巻ごとの簡単なあらすじを紹介していきます。
『源氏物語』全体の大まかなあらすじは、
こちらの記事に記載しています。
光源氏と薫の年表は、
こちらの記事に掲載しています。
第一部のあらすじ
「桐壺」~「藤裏葉」までの33帖は
第一部と称されます。
「桐壺」~「花散里」までの11帖は、
光源氏が多くの女君と恋愛を
重ねるお話です。
ついには義母・藤壺の宮との密通により、
不義の子が誕生します。
父親である桐壺院が崩御すると、
光源氏にとって政治的な風向きが
悪くなっていきます。
「桐壺」の巻
桐壺帝から深い寵愛を得ていた桐壺の更衣が、
主人公の光源氏を出産します。
桐壺の更衣は病死し、
深い悲しみに沈んだ桐壺帝を慰めるために
藤壺の宮が入内します。
光源氏は、母親によく似た藤壺の宮を慕い、
やがて藤壺の宮を女性として意識するようになります。
(光源氏12歳まで)
「帚木」の巻
17歳になった光源氏は、五月雨の降る夜に
友人の頭中将を含む仲間同士4人で
女性談義を繰り広げます。
(雨夜の品定め)
翌日、方違えのため紀伊守の邸を
訪問した光源氏は、伊予介の後妻である
空蝉に興味を持ち、男女の関係を結びます。
(光源氏17歳夏)
「空蝉」の巻
空蝉を忘れられない光源氏は、
再び紀伊守の邸を訪れ、寝所を狙いますが、
空蝉は薄衣を一枚残して逃げてしまいます。
光源氏は代わりに、
その場にいた軒端荻と契ります。
(光源氏17歳夏)
「夕顔」の巻
病気になった乳母の見舞いのため五条を
訪れた光源氏は、隣家に住む夕顔と出会い、
恋に落ちます。
8月15日の夜、2人は某の院に移り、
愛を語り合います。
ところが、深夜に夕顔は女性の霊に
とりつかれて亡くなってしまいます。
(光源氏17歳夏)
「若紫」の巻
病気療養のため北山を訪れた光源氏は、
藤壺の宮と顔の似た、若紫と出会います。
光源氏は、若紫を自邸に連れて帰り、
理想の女性に育てるため教育を与えます。
一方で、里下がりしていた藤壺の宮とは
念願の密通を果たします。
(光源氏18歳春3月~冬10月)
「末摘花」の巻
亡き常陸宮の姫君・末摘花の
噂を聞いた光源氏は、
熱心に求愛した末に、男女の契りを結びます。
ある冬の日の朝に、
初めて末摘花の顔を見た光源氏は、
その醜さに驚き呆れます。
(光源氏18歳正月~19歳正月)
「紅葉賀」の巻
光源氏は、紅葉賀の試楽で、
頭中将とともに青海波を舞います。
その美しさは、桐壺帝、藤壺の宮をはじめ、
人々を感動させました。
藤壺の宮は光源氏との不義の子を出産します。
光源氏と老女・源典侍との好色事件についても
語られます。
(光源氏18歳冬10月~19歳秋7月)
「花宴」の巻
宮中で催された桜花の宴の後、
光源氏は朧月夜の君と出会い、
男女の契りを結びます。
一月後、右大臣家の藤花の宴に参加した
光源氏は、朧月夜と再会し、喜びます。
(光源氏20歳春2月~3月)
「葵」の巻
賀茂祭の御禊の日、光源氏の
正妻・葵の上と恋人・六条御息所は、
車争いという事件を起こします。
葵の上を恨んだ六条御息所は、
生霊となり葵の上にとりつき、苦しめます。
葵の上は、息子・夕霧を出産した後に
亡くなります。
(光源氏22歳春~23歳正月)
「賢木」の巻
六条御息所は、斎宮となった娘に付き従い
伊勢に下ることを決意します。
光源氏は野の宮を訪問し、別れを惜しみます。
間もなく桐壺帝が崩御。
光源氏は、再び藤壺の宮との逢瀬を
企てますが失敗。藤壺の宮は出家します。
朧月夜と重ねていた逢瀬が、
右大臣にバレてしまいます。
(光源氏23歳秋9月~25歳夏)
「花散里」の巻
光源氏は花散里の邸を訪問します。
まず姉の麗景殿女御(桐壺帝妃)を訪れ、
昔の宮廷を懐かしみます。
次に妹の花散里を訪れ、色々に愛を語ります。
(光源氏25歳夏)
「須磨」~「関屋」までの5帖は、
光源氏が地方に追放されて、
再び都に戻り返り咲くまでが描かれています。
「須磨」の巻
右大臣からの政治的な圧迫を受けた光源氏は、
須磨への退去を決意します。
女君たちに別れを告げ、
須磨に移った光源氏一行は、
激しい嵐に襲われます。
(光源氏26歳3月~27歳3月)
「明石」の巻
嵐が収まると、
明石入道が舟で光源氏を迎えにきます。
光源氏は、住まいを明石に移し、
入道の娘・明石の君と男女の契りを結びます。
明石の君は光源氏との子を妊娠します。
都では天変地異や朱雀帝の眼病など
不幸が相次いでおり
東宮(冷泉帝)への譲位を考えた朱雀帝は
光源氏を明石から都に呼び戻すことを決意します。
帰京した光源氏は、政界復帰を果たします。
(光源氏27歳春~28歳秋)
「澪標」の巻
朱雀帝は皇位を退き、冷泉帝が即位します。
明石の君が姫君を出産したことで、
紫の上は強い嫉妬を覚えます。
六条御息所は、娘の斎宮とともに伊勢から
都に戻ってきましたが、病死。
光源氏は六条御息所の遺言を受け、斎宮を
養女とし、冷泉帝に入内させることを決めます。
(光源氏28歳10月~29歳冬)
「蓬生」の巻
光源氏が須磨・明石にいる間、
末摘花は生活援助を失い、
困窮を極めていました。
しかし、末摘花は光源氏を信頼し、
ずっと待っていました。
帰京した光源氏は、
花散里の邸を訪問する途中で末摘花を思い出し、
荒れ果てた常陸宮邸を訪問します。
光源氏は、生活保護を再開させ、
やがて末摘花を二条東院に迎えます。
(光源氏須磨明石時代~帰京後まで)
「関屋」の巻
光源氏は帰京した翌年に、
石山寺訪問のため逢坂の関を通りかかります。
そこで、夫に付き従い帰京する途中の
空蝉と再会し、後に文の遣り取りをします。
やがて空蝉の夫(常陸介)は亡くなり、
空蝉は出家をします。
(光源氏29歳秋)
「絵合」~「少女」までの5帖は、
光源氏が政界復帰を果たし、
勢力をましていく
様子が描かれています。
「絵合」の巻
光源氏の養女・斎宮は冷泉帝に入内し、
梅壺の女御となります。
帝が絵画好きということもあり、
藤壺の中宮の前で物語絵合わせ、
帝の前で絵合わせのイベントが催されます。
光源氏が須磨で描いた絵が人々の心を打ち、
梅壺方が勝利をおさめ、弘徽殿女御は負けます。
(光源氏31歳春)
「松風」の巻
明石の君は姫君とともに上京し、
大堰の山荘に移ります。
光源氏は、紫の上に明石の姫君を
養女にすることを提案し、紫の上は承諾します。
(光源氏31歳秋)
「薄雲」の巻
明石の姫君は実母と別れ、
紫の上の養女となります。
藤壺の宮は病死し、光源氏は悲嘆に暮れます。
冷泉帝は僧から
実の父親が光源氏であると知らされ、
光源氏に譲位しようとしますが、
源氏は拒否します。
(光源氏31歳冬~32歳秋)
「朝顔」の巻
光源氏は若い頃から
朝顔の君に執着していましたが
恋心が再燃し、求愛を繰り返します。
紫の上は強く嫉妬をし、光源氏は慰めます。
(光源氏32歳9月~冬)
「少女(乙女)」の巻
光源氏の息子・夕霧は12歳を迎え、元服。
恋仲であった雲居雁とは引き離されてしまいます。
夕霧は五節舞姫に恋をし、求愛。
光源氏は六条院を完成させ、
秋の町を秋好中宮の里邸とし
春の町に紫の上、夏の町に花散里、
冬の町に明石の君を住まわせます。
(光源氏33歳夏4月~35歳冬10月)
「玉鬘」~「真木柱」までの十帖は、
「玉鬘十帖」と呼ばれており、
玉鬘という女性を中心にした物語となっています。
「玉鬘」の巻
夕顔と頭中将の娘である玉鬘は、
筑紫国で成人した後、母を探すために上京し、
長谷寺でかつての女房(右近)と再会します。
光源氏の女房を務めている右近は、
玉鬘のことを光源氏に報告します。
光源氏は玉鬘を養女として六条院に迎えます。
(光源氏35歳夏4月~冬10月)
「初音」の巻
新春を迎えた六条院の
華やかな様子が語られます。
光源氏は、紫の上、花散里、
玉鬘、明石の君を順番に訪問します。
翌二日には二条東院の末摘花と空蝉を訪ねます。
(光源氏36歳正月)
「胡蝶」の巻
花々が咲き乱れる季節(3月)になり、
六条院の春の町にて船楽が催されました。
翌日には秋好中宮による季の御読経が催されます。
夏になり、玉鬘には多くの求婚者から文が
寄せられるようになりました。
光源氏自身も玉鬘に恋心を抱き、
ある日ついに思いを打ち明け、添い寝をします。
(光源氏36歳3月~4月)
「蛍」の巻
五月雨の頃、
求婚者の一人である蛍兵部卿宮は、
六条院を訪問します。
光源氏は几帳の内側に蛍を放ち、
玉鬘の美しい姿を蛍兵部卿宮に見せます。
蛍兵部卿宮はますます玉鬘に執心しますが、
玉鬘は冷たくあしらいます。
(光源氏36歳5月)
「常夏」の巻
夏の暑い時期のこと。六条院の釣殿にて、
光源氏は内大臣の子息たちに、
近江の君のことをたずねます。
近江の君は、内大臣が最近、
探し出して迎え入れた落胤の姫君なのでした。
内大臣は、品のない近江の君の
扱いに困り果てており
長女・弘徽殿女御のもとに宮仕えに出すことを決めます。
(光源氏36歳盛夏)
「篝火」の巻
光源氏は、玉鬘の部屋を訪ね、
琴を枕にして添い寝をし、恋心をほのめかします。
光源氏は、ちょうど東の対にいた
息子・夕霧と求婚者の一人・柏木を呼び、
笛、和琴を合奏させます。
(光源氏36歳初秋)
「野分」の巻
8月のある日、
野分(台風)が都を襲います。
夕霧は、野分の混乱の中で、
紫の上の美しい姿を見て、心を奪われます。
野分の翌日には、玉鬘の元を見舞いますが、
その美しい姿を垣間見ると同時に、
光源氏と玉鬘の仲睦まじい様子を見て
驚き呆れます。
(光源氏36歳秋8月)
「行幸」の巻
冷泉帝が大原野に行幸し、
見物に参加した玉鬘は帝の美しさに見惚れます。
光源氏はその心を見抜き、
玉鬘に尚侍としての宮仕えを勧めます。
玉鬘は裳着の日に、ついに実父の内大臣と対面。
玉鬘と内大臣が親子であることは求婚者を含む
世間にも知られていきます。
(光源氏36歳12月~37歳2月)
「藤袴」の巻
祖母・大宮の喪に服している玉鬘のもとを
夕霧が訪れ、藤袴の花をさしだしつつ
恋心をほのめかします。
喪が明けて、玉鬘は10月に尚侍として
宮中に出仕することが決まります。
諦めきれない求婚者たちは玉鬘に文を贈ります。
(光源氏37歳秋8月~9月)
「真木柱」の巻
玉鬘は、髭黒大将に強引に
男女の契りを結ばされ、結婚することになります。
髭黒の北の方は実家に帰ってしまいます。
髭黒の娘(真木柱)は悲しみの和歌を詠んで
柱のひび割れに差し込みました。
新年になり、玉鬘は宮中に出仕をして、
冷泉帝に気に入られます。
慌てた髭黒大将は玉鬘を自邸に
連れて帰ってしまいます。
(光源氏37歳冬10月~38歳11月)
「梅枝」「藤裏葉」の2帖では、
明石の姫君の入内や、
夕霧と雲居の雁の結婚についてが
語られます。
光源氏は准太上天皇の待遇を得て、
栄華が極まります。
「梅枝」の巻
春、六条院で薫物合わせが催され、
女君たちはそれぞれ香の調合を行いました。
翌日には明石の姫君の裳着が行われます。
内大臣は、明石の姫君の入内の話を耳にして
いまだ独身である雲居雁の結婚について悩んでいました。
(光源氏39歳春1月~2月)
「藤裏葉」の巻
内大臣の藤の花の宴にて、
ついに夕霧と雲居の雁の結婚が許可され、
2人は仲睦まじい夫婦となります。
明石の姫君は東宮に入内。
四十の賀を迎えた光源氏は、准太上天皇の
待遇を受け、栄華が極まります。
(光源氏39歳3月~10月)
第二部のあらすじ
「若菜」~「幻」までの7帖は、
光源氏の運命の衰退と、命の終わりが描かれます。
女三の宮の降嫁と裏切り、
紫の上の死により、光源氏の物語は
華やかさを失い、終焉を迎えます。
「若菜上」の巻
光源氏は朱雀帝の皇女・女三の宮を
正室として六条院に迎えます。
明石の女御は懐妊し、
男皇子を無事に出産します。
かねてより、女三の宮に思いを寄せていた
柏木は、六条院の蹴鞠に参加した際に、
偶然、女三の宮の美しい姿を見てしまい、
恋心がますます高まります。
(光源氏39歳12二月から41歳3月)
「若菜下」の巻
冷泉帝が退位し、東宮が即位。
明石の女御の第一皇子が
新たに東宮となります。
紫の上は発病。一時絶命しますが蘇生します。
柏木は朱雀帝の皇女・女二の宮(落葉の宮)
と結婚しますが、妻を愛せず、
女三の宮と密通してしまいます。
女三の宮は柏木の子を妊娠します。
光源氏は、落ちていた文により
妻の不倫を知ります。
(光源氏41歳3月~47歳12月)
「柏木」の巻
女三の宮は、男子(薫)を出産した後、
出家をします。
病床にふせっていた柏木は、亡くなります。
薫はすくすくと成長し、
光源氏は薫の美しい容貌に、柏木の面影を見ます。
(光源氏48歳春1月~夏4月)
「横笛」の巻
柏木が亡くなって1年がたち、
夕霧は未亡人となった落葉の宮を訪問します。
柏木の遺品の横笛を受け取った夕霧は、
光源氏に柏木の遺言を伝えるとともに、
その横笛を託します。
(49歳春~秋)
「鈴虫」の巻
夏、女三の宮の持仏の開眼供養が催されます。
秋になると、光源氏は
女三の宮の部屋の前庭に鈴虫など
秋の虫を放ちます。
たびたび訪問して愛を語る光源氏に、
女三の宮は迷惑に感じます。
(光源氏50歳夏~秋)
「夕霧」の巻
夕霧は、未亡人となった落葉の宮への
恋心を募らせ、求婚をしますが、
女二の宮はかたくなに心を開きません。
夕霧の浮気は妻の雲居雁にバレてしまい、
夫婦喧嘩になります。
ついに夕霧は落葉の宮と結婚を成立させ、
怒った雲居雁は実家に帰ります。
(光源氏50歳秋~冬)
「御法」の巻
紫の上は体調が優れない日々が続いていましたが、
明石の中宮と光源氏に看取られながら死去します。
光源氏は深い悲しみに沈みながら
葬儀をとりおこない、紫の上は亡くなった
翌日の夜明けには荼毘にふされました。
(光源氏51歳3月~8月)
「幻」の巻
最愛の妻・紫の上が亡くなり、
光源氏は追悼の日々を送っていました。
やがて紫の上の一周忌が巡ってきます。
光源氏は新年を迎えたら出家をする決意をし、
身辺整理をするのでした。
(光源氏52歳春~12月)
第三部のあらすじ
「匂宮」~「竹河」までの3帖では、
薫と匂宮の紹介が語られた上で、
紅梅大納言の3姉妹および玉鬘の娘たちの
縁談のストーリーが描かれます。
「匂宮」の巻
光源氏の没後、
今上帝と明石の中宮の第三皇子・匂宮と
柏木と女三の宮の不義の子・薫が
貴公子として世間の注目を集めていました。
薫は光源氏の子として育ってきましたが、
漠然と、自分の出生に疑問を持っています。
(薫14歳~20歳)
「紅梅」の巻
故致仕大臣(頭中将)の次男・按察使大納言
には3人の娘(大君、中君、宮の御方)がいました。
大君と中君は大納言と亡き北の方の娘で、
宮の御方は真木柱と亡き蛍兵部卿宮の娘(連れ子)です。
多くの求婚者が立候補しますが、
大君は東宮に入内します。
大納言は、中君を匂宮と結婚させようと
考えますが、匂宮は宮の御方に
興味を持っていました。
(薫24歳)
「竹河」の巻
髭黒太政大臣が亡くなった後、
妻の玉鬘は2人の娘(大君、中君)の
結婚について悩んでいました。
大君は冷泉院に参内させることが決まり、
求婚者である蔵人少将(夕霧の五男)はひどく落胆します。
大君は冷泉院から寵愛を受け、
周囲からの嫉妬で苦労しますが、
中君は今上帝のもとで尚侍として気楽に宮仕えをします。
(薫15歳~19歳)
「橋姫」~「夢浮橋」までの10帖は、
「宇治十帖」と呼ばれています。
薫と匂宮が宇治の姉妹と出会い、恋物語を
繰り広げます。
「橋姫」の巻
薫は、宇治の八の宮と出会い、
その俗聖のような生活に強く惹かれ、
しばしば通うようになります。
通い始めて3年がたった頃、
薫は八の宮の娘の姉妹(大君・中君)を
垣間見て、強く心を惹かれます。
薫が匂宮に宇治の姉妹のことを話すと、
匂宮も姉妹に興味を持ちます。
また、薫は、宇治の老女房・弁の君から
自身の出生の真実を知らされます。
(薫20歳~22歳秋)
「椎本」の巻
長谷寺参詣の帰りに、立ち寄ったのを
きっかけとして、匂宮はしばしば
宇治に和歌を贈るようになりました。
返歌は中君は書いていました。
八の宮は姉妹に遺言を残して死去。
薫は大君に、匂宮は中君に、恋心を募らせていきます。
(薫23歳春2月~24歳夏)
「総角」の巻
薫は大君に求愛しますが、
大君は薫と中君を結婚させたいと考えます。
薫は、匂宮と中君を結婚させようと考え、
2人を逢わせます。
大君はその後も薫を拒否し続けます。
匂宮は、両親(帝と中宮)
に遊び歩くことを禁止されてしまい、
中の君のもとに通えなくなってしまった上、
夕霧の娘(六の君)との結婚が決まります。
大君は心労のあまり病に倒れ、亡くなってしまいます。
(薫24歳の秋から歳末)
「早蕨」の巻
匂宮は、中君を京の二条院に迎え入れ、
手厚い待遇でもてなします。
夕霧は、中君のことを知り不快に感じ、
娘・六の君は匂宮ではなく、
薫に嫁がせようと思案しますが、薫には断られます。
(薫25歳春)
「宿木」の巻
薫は、今上帝の皇女・女二の宮と
結婚することが決まります。
夕霧は薫を諦めて、六の君を
匂宮と結婚させることを決意します。
薫は、匂宮の結婚にショックを受けた
中君に言い寄りますが、
妊娠中の姿を見て自制します。
宇治を訪問した薫は、大君そっくりの女性
浮舟を見かけ、弁の尼に仲立を依頼します。
(25歳夏から26歳夏)
「東屋」の巻
中君の異母妹である浮舟は、母親の意向により
二条院の中君のもとに預けられます。
ところが、匂宮が浮舟を見つけ、
言い寄ってしまいます。
浮舟の母はこれを知り、
驚いて浮舟を三条の小家に隠します。
薫は浮舟の居場所を知り、訪れ、
男女の契りを結んでしまいます。
翌朝、薫は浮舟を宇治の山荘に連れていきます。
(26歳秋8月~9月)
「浮舟」の巻
薫は浮舟を宇治に住まわせたまま放置します。
匂宮は浮舟のことが忘れられず、
居場所をつきとめ、宇治まで行き
男女の関係を結んでしまいます。
浮舟は薫と違って情熱的な匂宮に心が惹かれていきます。
薫は浮舟を京へ引き取る準備を進めますが、
匂宮はその前に浮舟を引き取りたいと考えます。
ついに薫は、
匂宮と浮舟の関係を知ることとなり、
2人の貴公子の板挟みに悩んだ浮舟は、
死を決意します。
(26歳12月~27歳3月)
「蜻蛉」の巻
浮舟は宇治川に身を投げて、
姿を消してしまいます。
薫と匂宮は浮舟の失踪を知り、深く悲しみます。
薫は女一の宮の容姿を垣間見て、心を惹かれ、
妻の女二の宮とつい比較をしてしまいます。
その頃、式部卿宮(光源氏の弟)の
娘・宮の君が中宮に仕えるようになっており、
匂宮は
「縁続きだから、宮の君は浮舟に似ているだろう」
と考えるようになります。
薫も宮の君に興味を持つようになります。
(薫27歳3月~秋)
「手習」の巻
宇治川に入水した浮舟は、横川僧都に発見され、
助けられていました。
僧都の妹尼の亡き娘の婿(近衛中将)が
浮舟に言い寄りますが、
浮舟は近衛中将を拒絶します。
浮舟は、僧都に懇願して出家してしまいます。
薫は、浮舟生存の知らせを聞き、横川僧都を訪ねます。
(薫27歳3月~28歳夏)
「夢浮橋」の巻
薫は僧都から浮舟の話を聞きます。
浮舟のいる小野への案内を依頼しますが、
「来月なら」という話になり、薫は京へ戻ります。
翌日、浮舟の異父弟・小君が、薫の使いとして
浮舟のもとを訪れます。
しかし、浮舟は小君には会おうとせず、
薫からの文も受け取りません。
小君からの報告を聞いた薫は、
「誰かが浮舟を隠しているのでは」
と思うのでした。
(薫28歳夏)
以上、『源氏物語』54帖のあらすじを
紹介しました!
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