夕霧は、光源氏の息子であり、
父親ゆずりの美貌と
学問の才能を併せ持った男性です。
物語の主人公・光源氏の息子として
主要な登場人物の一人です。
この記事では、夕霧の人物像について
わかりやすく解説していきます😊
【源氏物語 夕霧の人物像】
・家系図
・容姿、性格、年齢
・登場巻とエピソード(あらすじ)
・夕霧と光源氏の関係
・夕霧の紫の上への禁断の恋について
長い記事になりましたので、
目次をタップして読みたい所からお読みください✨
夕霧ってどんな人?性格や容姿、家系図を解説
まずは夕霧の相関図と
周辺の人間関係について説明していきますね。
夕霧の家系図と人間関係
以下は、
夕霧の周辺にクローズアップした
家系図です。
源氏物語全体の相関図は、
以下の記事に掲載した図を参考にしてください。
【登場人物の解説】
夕霧:光源氏と葵の上の息子。
真面目な性格で「まめ人」と語られている。
学問の才能があり、容貌も美しい。
光源氏:夕霧の父親。
夕霧が元服すると、大学寮に入れ、
学問を学ばせる。
葵の上:夕霧の母親。
夕霧を出産後、六条御息所の生霊に
とりつかれて亡くなってしまう。
(「葵」の巻)
雲居の雁:幼少時代からの純愛の末、
夕霧の正妻となる。頭中将の娘。
夕霧とはいとこ同士。
母親は頭中将と離縁しており
按察使大納言の北の方となっている。
藤典侍:五節舞姫を務めたところ、
夕霧に見初められ、妾となる。
光源氏の従者・惟光の娘。
落葉の宮:朱雀院の皇女。
女二の宮とも呼ばれる。
母親は一条御息所。
最初、柏木の妻となるが、愛されない。
柏木の死後、夕霧にアプローチされ、
妻となる。
花散里:光源氏の妻の一人であり、
夕霧の母代わりを務める。
柏木:頭中将と四の君の息子であり、
夕霧とは親友であった。
落葉の宮と結婚するが、死別する。
生まれてすぐに母親(葵の上)を
亡くした夕霧は、いとこの雲居の雁とともに
祖母の大宮のもとで育てられました。
夕霧には最終的に3人の女性と結婚します。
\雲居の雁の解説記事はこちら/
伝本によって子どもの数は異なりますが、
11人、もしくは12人の子宝に恵まれました。
・大島本によると…
雲居の雁の子どもは、7人。
太郎、三郎、五郎、六郎、中君、四君、五君
藤典侍の子どもは、5人。
次郎、四郎、大君、三君、六君
落葉の宮には子どもはありませんでしたが、
藤典侍の六の君を養女にして育てました。
夕霧の性格
夕霧の性格を一言で表すと、
- 真面目で誠実
- 面食い
の2点があげられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
真面目で誠実
夕霧は、
真面目で浮ついたところのない性格でした。
『源氏物語』原文中では、
「まめやか」(誠実だ)という言葉で
語られることが多いです。
勉学も真面目に行い、
周囲の女房に対しても言葉少なに対応し、
気を許す態度は見せませんでした。
光源氏は夕霧の実直な人柄を信頼し、
異母妹である明石の姫君が幼い頃には
遊び相手も任せていました。
面食い
若い頃の夕霧は、とても面食いな男でした。
雲居の雁も藤典侍も、
夕霧はその美しい顔に惹かれて恋に落ちているのです。
また、光源氏の妻・紫の上の美貌に
衝撃を受けて強く憧れています。
以下の引用は、夕霧が
母代わりとなった花散里の顔を見た時に
思った内容です。
【原文】
『源氏物語』「少女」の巻より引用
「 わが、あながちに、つらき人の御容貌を心にかけて恋しと思ふもあぢきなしや。心ばへのかやうにやはらかならむ人をこそあひ思はめ」
【現代語訳】
「私は、無性に、恨めしい人(雲居の雁)のご容貌を心にかけて恋しいと思うのもつまらないことだ。性格がこのように柔和な女性と愛し合えたら幸せだろうに」
夕霧は、花散里が顔は美しくないけれど、
性格がいいのを見て、
自分の外見重視主義を反省したのです。
浮気が本気になってしまう
夕霧は、真面目であるがゆえに、
一度浮気のスイッチが入ると
浮気が本気になってしまう一面を見せています。
雲居の雁に対して、
夕霧は幼い頃から一途な愛を見せていましたが、
落葉の宮に恋をしてからはそちらに
本気になってしまいます。
怒った雲居の雁は、一時期実家に帰ってしまい
離婚危機に陥っています。
\夕霧の浮気騒動についての解説記事/
気楽な女遊びをする一面も
夕霧は真面目な男でしたが、
3人の妻(雲居の雁・落葉の宮・藤典侍)
以外にも体の関係がある若い女房(愛人)はいたようです。
しかし、
気軽に将来の約束をするようなことはなく
一時の恋にすませていました。
また、年を重ねるにつれて
女房たちに対して、冗談を言ってふざける一面も見られ、
真面目なだけの男ではありませんでした。
夕霧の容姿
夕霧は父・光源氏にそっくりの
美貌の持ち主でした。
異母弟である冷泉帝ともよく似ていました。
光源氏、夕霧、冷泉帝
この3人はよく似ていて、
3人とも非常にイケメンでした。
光源氏と夕霧は親子ですが、
光源氏がたいへん若く見えたので、
まるで兄弟のような親子でした。
【原文】
『源氏物語』「藤裏葉」の巻より引用
御子とも見えず、すこしがこのかみばかりと見えたまふ。ほかほかにては、同じ顔を写し取りたると見ゆるを、御前にては、さまざま、あなめでたと見えたまへり。
【現代語訳】
ご子息のようには見えず、(源氏は)少しばかり年上程度にお見えである。(源氏と夕霧を)別々に見ると、同じ顔を写し取ったようにそっくりだが、目の前で見ると、それぞれに、ああ素晴らしいとお見えでいらっしゃった。
※源氏39歳、夕霧18歳
光源氏は「胡蝶」の巻にて、
夕霧は母・葵の上には少しも似ていない
と言っています。
光源氏の容姿はこちらの記事で
解説しています。
光源氏と夕霧の容姿の違い
光源氏はただただ美しくて愛嬌があり、
見る人が辛さを忘れるような容貌だったのに対し、
夕霧は学問の才が優れ、男らしい雰囲気が優り、
謹厳な魅力が加わっていました。
夕霧の容貌は、父・光源氏と比べて
より男らしく重々しい雰囲気が特徴でした。
【原文】
『源氏物語』「柏木」の巻より引用
これは、いとすくよかに重々しく、男々しきけはひして、顔のみぞいと若うきよらなること、人にすぐれたまへる。
【現代語訳】
この方(夕霧)は、実に真面目で重々しく、男性的な感じがして、お顔だけが非常に若々しく美しいことは、他の誰にも勝っていらっしゃった。
夕霧が18歳の頃、
「光源氏が同じくらいの年齢だった頃は、
もっと美しかった」
と朱雀院付きの女房たちが評しています。
夕霧はイケメンでしたが、
目も眩むような美しさにはあと一歩及ばなかったようですね。
冷泉帝と夕霧の容姿の違い
夕霧は冷泉帝ともよく似ていました。
※2人は、異母兄弟の関係です。
気品があって素晴らしい感じは、
冷泉帝のほうが上、
目の覚めるような美しさは夕霧が上でした。
夕霧の年齢
夕霧は、「葵」の巻で誕生し、
「手習」の巻まで登場します。
「手習」の時点では夕霧は53歳でした。
夕霧の最期は物語中では語られて
いないので享年はわかりません。
各巻ごとの年齢は、次の項の表に追記しています。
夕霧の物語 あらすじを簡単に紹介
登場巻名 | あらすじ | 年齢 |
---|---|---|
葵 | 源氏の妻・葵の上、夕霧を出産。 夕霧、とても可愛らしく 目もとは東宮(後の冷泉帝)にそっくり。 葵の上は出産後すぐ亡くなり、 夕霧は祖母の大宮のもとで育つ。 | 1歳 |
賢木 | 源氏、幼い夕霧を可愛がる。 | 2歳 |
須磨 | 源氏、須磨へ出発する数日前、 可愛らしく成長した夕霧の様子が描かれる。 | 5歳 |
澪標 | 成長した夕霧、内裏や東宮御所に殿上童として出入りしている。 源氏の住吉詣でに随身する。 夕霧は馬に乗り、馬添いの童をつけられていた。 | 8歳 |
少女 | 夕霧、元服。 六位となり浅葱の袍服を着ることとなる。 源氏の教育方針により大学寮に入学し勉学生活を送る。 寮試に合格し、擬文章生となる。 夕霧と雲居の雁、幼馴染の恋が語られる。 雲居の雁の父内大臣、2人の恋愛関係を知り、養育者である祖母大宮を恨む。 雲居の雁、大宮邸から父内大臣の邸にひきとられる。 引っ越しの前に2人は束の間の逢瀬を得る。 雲居の雁の乳母、夕霧の六位を蔑む。 夕霧と雲居の雁、会うことも手紙を交わす ことも難しい状況となる。 夕霧、美しい五節の舞姫(惟光の娘・後の藤典侍)に恋をする。 夕霧、舞姫の弟に恋文を託す。 舞姫の父惟光は手紙を見て夕霧の気持ちを喜ぶ。 花散里、年老いた大宮の代わりに夕霧の母代わりとなる。 夕霧、花散里の容貌を心中で酷評する。 夕霧、朱雀院での行幸にて漢詩の試験を受ける。 | 12歳~14歳 |
初音 | 夕霧、正月の男踏歌にて舞いを舞う。 | 15歳 |
胡蝶 | 夕霧、紫の上の文を秋好中宮のもとに運ぶ。 夕霧、玉鬘を実の姉と思い御簾の近くで話をする。 | 15歳 |
蛍 | 源氏、夕霧を紫の上には近づけないが、 明石の姫君には兄妹として親しく御簾の内側に入らせる。 夕霧、明石の姫君と人形遊びをする。 夕霧、柏木から玉鬘への恋の手引きを依頼するがそっけなく断る。 | 15歳 |
常夏 | 内大臣、夕霧の官位が上がらない間は 雲居の雁との結婚を許せないと思う。 | 15歳 |
篝火 | 初秋の夜、源氏に呼ばれ、夕霧ら3人の公達、玉鬘の前に参上。 夕霧は玉鬘の前で笛を吹く。 | 15歳 |
野分 | 台風が襲来した日、 夕霧は紫の上の美しい姿を見て恋心を抱く。 夜になり三条宮の祖母大宮を見舞う。 明け方に六条院に戻り、花散里を見舞う。 次に秋好中宮を見舞う。 源氏と玉鬘が仲睦まじい様子を見てショックを受ける。 玉鬘の美しさを評価する。 雲居の雁に恋文を書く。 8歳になった明石の姫君の姿を垣間見する。 | 15歳 |
行幸 | 源氏、内大臣に会って話すが、 夕霧と雲居の雁の結婚のことは話さずに終わる。 ※玉鬘のことのみを話す。 夕霧、玉鬘と姉弟ではないと源氏から聞かされる。 玉鬘の美しい容姿が思い起こされるが、 雲居の雁という存在があるからと気持ちを抑える。 | 15歳~16歳 |
藤袴 | 夕霧、源氏の使者として玉鬘を訪問し、嘘の伝言を真実らしく伝える。 御簾の端から玉鬘の袖を引いて言い寄る。 玉鬘は困惑して奥へ引っ込んでしまう。 夕霧、源氏のもとに戻り報告する。 源氏と玉鬘が男女の関係なのではと疑う。 | 16歳 |
真木柱 | 玉鬘、髭黒と結婚。 夕霧、玉鬘の参内の宮中出仕の世話などをする。 内大臣家の近江の君、夕霧にちょっかいを出し、戯れに和歌を詠み合う。 | 17歳 |
梅枝 | 夕霧、六条院の薫物合わせ後の饗宴にて、横笛を吹く。 源氏、蛍兵部卿宮、柏木らと唱和歌を詠む。 夕霧、明石の姫君が入内の際に持っていく箱に入れる草子に文字絵などを書く。 光源氏、夕霧に結婚の教訓を説く。 夕霧と雲居の雁、時々文の遣り取りをする。 雲居の雁、夕霧の他の女との縁談を知り、ショックを受ける。 | 18歳 |
藤裏葉 | 夕霧と雲居の雁の相思相愛ぶりを見て、父内大臣、結婚を許すことを考える。 3月20日夕霧、内大臣の極楽寺参詣に参集する。 4月初旬、ついに夕霧、内大臣の自邸に招待され、雲居の雁との結婚を許される。 その夜、夕霧は雲居の雁の部屋を訪れ、結ばれる。 翌朝、雲居の雁に後朝の文を贈る。 内大臣、婿となった夕霧を大切に世話する。 夕霧、賀茂の御阿礼祭の使者となった藤典侍に文を贈る。 藤典侍は既に愛人であり、夕霧に正妻ができたことを不安に思っている。 秋、夕霧は宰相中将から中納言(三位)に昇進。 昇進して来客が増えたため、内大臣邸から大宮の住んでいた三条邸に、雲居の雁と共に移る。 | 18歳 |
若菜上 | 秋夕霧、病気の朱雀院を見舞う。 朱雀院、夕霧を女三の宮の婿にと思うが既に正妻がいるので決められない。 朱雀院、夕霧を高く評価する。 夕霧、女三の宮の婿探しの事情を知り、心が動く。 翌年10/23薬師仏供養の精進落としの宴にて夕霧と友人・柏木、「入綾」を舞う。 かつての源氏と頭中将が想起される様子。 夕霧、右大将となる。 夕霧、勅命により源氏の四十の賀の宴を催す。 夕霧、源氏の妻となった女三の宮を気にかけるが高くは評価しない。 翌年3月夕霧と柏木、六条院で蹴鞠をする。 柏木が女三の宮の姿を見てしまい、夕霧、事態を憂慮する。 | 18歳~20歳 |
若菜下 | 夕霧、大納言となる。 花散里、夕霧の子(藤典侍腹)を引き取って養育する。 夕霧、7歳以上の自分の子を童殿上させる。 源氏、六条院の女楽に夕霧を呼び箏の琴を調弦させる。 夕霧の弾く琴の音に、長男、笛を吹き合わせる。 夕霧、女楽に合わせて美声で唱歌する。 夕霧、紫の上に対して好意を継続している。 源氏と夕霧、音楽論を語り合う。 夕霧は女三の宮から、長男は紫の上から褒美をもらう。 夕霧、雲居の雁と紫の上を比較して思う。 夕霧、紫の上の病気平癒のため世話をする。 紫の上が重態となり、夕霧深く悲しむ。 女三の宮と密通した柏木が重態となり、夕霧心配する。 | 20歳~26歳 |
柏木 | 夕霧、病気の柏木を見舞う。 柏木、自分の死後に妻落葉の宮の世話をしてくれるよう夕霧に遺言を残す。 柏木の死後、夕霧、事の真相に興味を持つ。 夕霧、落葉の宮の邸を訪問し、一条御息所と語らい柏木を哀悼する。 夕霧、太政大臣を訪問し、柏木を哀悼する。 | 27歳 |
横笛 | 夕霧、柏木の一周忌の供養をする。 落葉の宮を訪問し、一条御息所と語らい柏木が愛用していた琴を弾く。 一条御息所、柏木の笛を夕霧に贈る。 雲居の雁、夕霧が他の女の元に通っていると知り嫉妬する。 夕霧の夢に柏木が出てきて、笛を子孫に伝えるように語る。 夕霧、匂宮ら源氏の孫と薫になつかれる。 夕霧、柏木の笛を源氏に預けるが、源氏から真実は聞き出せない。 | 28歳 |
鈴虫 | 夕霧、六条院の鈴虫の宴に参加。 | 29歳 |
夕霧 | 8月20日頃夕霧、小野山荘に移った落葉の宮を訪問。 一晩逗留し、落葉の宮の部屋に忍び込み近くに寄るが、拒否されて何事もなく夜を明かす。 一条御息所、夕霧が落葉の宮の部屋に泊まったと聞いて関係を嘆く。 一条御息所、夕霧に手紙を書くが嫉妬した雲居の雁に取り上げられてしまう。 一条御息所、薫の訪問がなく文の返事もないことに嘆きながら死去。 夕霧、弔問するが落葉の宮と話せず帰される。 雲居の雁、強く嫉妬する。 9月10日過ぎ、夕霧、小野山荘を訪問するが落葉の宮と直接は話せない。 源氏、夕霧の恋愛問題を心配する。 夕霧、落葉の宮を一条邸に帰らせて、夫婦になってしまおうと采配する。 落葉の宮、一条邸に帰り塗籠に籠る。 夕霧、花散里に落葉の宮の件を弁明する。 雲居の雁、嫉妬が募り荒れる。 夕霧、塗籠に入っていき落葉の宮と契る。 雲居の雁、怒って実家に帰る。 夕霧、雲居の雁を訪問して恨み責める。 | 29歳 |
御法 | 夕霧、紫の上の美しい死に顔を見る。 夕霧、紫の上の忌中で物忌みに籠り、悲しむ。 | 30歳 |
幻 | 夕霧、五月雨の頃に源氏を訪問し、語らう。 | 31歳 |
匂宮 | 夕霧、右大臣となっている。 六条院の東北の町に落葉の宮を移し、三条の雲居の雁と交互に通っている。 六の君(藤典侍腹)の結婚について思案する。 夕霧、薫を気にかけて大切に扱う。 | 40歳~46歳 |
竹河 | 正月、夕霧は子息を6人連れ玉鬘邸を訪問し年賀の挨拶。 数年後、玉鬘、夕霧と文を遣り取りし、中の君の宮仕えについて相談する。 夕霧、左大臣となる。 | 41歳~45歳 |
早蕨 | 夕霧、六の君を匂宮に嫁がせることを決める。 | 51歳 |
宿木 | 夕霧、六の君と匂宮の縁談を進めようとする。 匂宮は気がすすまないが、ついに婚約する。 夕霧、六の君と匂宮の婚儀を行う。 | 51歳 |
蜻蛉 | 夕霧、明石中宮の里下がり先として世話をする。 夕霧は権力者としてふるまい 六条院、華やかに栄華を極める。 | 53歳 |
手習 | 夕霧が権力者として栄華を極めていることが紀伊守によって語られる。 | 54歳 |
夕霧と光源氏の関係
夕霧と光源氏は、親子の関係です。
夕霧は光源氏とって最初の子ども(長男)です。
「葵」の巻で
光源氏の正妻の葵の上が出産しました。
夕霧と光源氏の間に争いはあったか?
夕霧は、父・光源氏の教育方針について
不満を持っていた時期がありますが、
反抗したことはなく、親子の仲は良好だったと言えます。
夕霧は、権力者である光源氏の息子であるから、
最初から四位の官位からスタートでもよかったのに、
あえて低い官位(六位)からスタートさせたのです。
さらに光源氏は、夕霧を大学寮に入学させ、
勉学を道を進ませました。
夕霧は六位であることを周囲から軽んぜられ、
雲居の雁との結婚も遠ざかりました。
夕霧は、最初のうちは
「こんなに苦しい目にあわなくても」
と不満に感じていました。
しかし、根が真面目な性格なので
父の言いつけに従い勉学に打ち込み、
努力した結果、
どんどん昇進して最終的には左大臣となり
最高権力者の地位を手に入れました。
夕霧、紫の上への危うい恋心
光源氏は、
夕霧が紫の上に好意を持つことを恐れて、
元服した夕霧を近寄らせないように気をつけていました。
【原文】
『源氏物語』【少女】の巻より引用
上の御方には、御簾の前にだに、もの近うももてなしたまはず。 わが御心ならひ、いかに思すにかありけむ、
【現代語訳】
紫の上のいる方では、(夕霧を)御簾の前近くにさえお近寄らせにならない。(源氏は)ご自分のお心の性癖から、どのようにお考えになったのであろうか、
紫の上と夕霧を遠ざけていた光源氏ですが、
「野分」の巻で、ついに夕霧は
紫の上の美しい姿を見てしまいます。
それ以来、
夕霧にとって紫の上は憧れの人となりました。
夕霧は根が真面目なので、
義母に迫るような間違いは起こさなかったのです。
夕霧の紫の上への思いは、純粋な恋心のまま
紫の上の死去という形で終わりを迎えました。
この記事では、
源氏物語に出てくる夕霧について
人物像を詳しく説明しました。
源氏物語のその他の登場人物については、
こちらの記事で紹介しているので
参考にしてくださいね。