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撫子
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30代後半の主婦。
高校生の頃から源氏物語に興味を持ち始めました。大学では源氏物語を研究し、日本語日本文学科を首席卒業しました。
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伊勢物語:四十九段「若草」の解説・原文・現代語訳

伊勢物語:四十九段「若草」の解説・原文・現代語訳

この記事では、『伊勢物語』の四十九段「若草」の
原文・現代語訳・解説を掲載しています。

『伊勢物語』とは、在原業平(825~880)の
和歌や逸話をもとに、作られた歌物語です。

目次

『伊勢物語』四十九段「若草」:原文・現代語訳

【現代語訳】
昔、男が、妹のとても可愛らしい様子を見ていて、

♪若々しいから、添い寝したく見える若草のような可愛いなたを、他人が妻とすることを悔しく思います

と申し上げました。返しの歌、

♪なんて思いもよらぬ言葉でしょうか。きょうだいだから、私はあなたを無邪気な気持ちで思っていたのですよ

【原文】
むかし、男、のいとをかしげなりけるを見をりて、

  うら若みねよげに見ゆる若草を人のむすばむことをしぞ思ふ

と聞えけり。返し、

初草はつくさなどめづらしきことの葉ぞうらなくものを思ひけるかな



妹:在原業平に妹がいたかどうかは
不明である。

初草の:「めづらしき」にかかる枕詞。

解説:『源氏物語』との関連

男が妹に言い寄る近親相姦の雰囲気が
漂う章段ですが、男も妹も本気ではなく
軽い冗談の応酬のような遣り取りなのでしょう。

『伊勢物語』四十九段の和歌は、
『源氏物語』「若紫」巻の和歌に
影響を与えていると言われています。

こちらの記事で詳しく解説しています。

「若紫」巻は、『伊勢物語』初段の
影響も受けています。
初段と四十九段の間には
何のつながりもありませんが、
紫式部はこの2つの章段をつなぎ合わせ、
「若紫」巻の構想を練ったのです。

「総角」巻でも、『伊勢物語』四十九段が
引用されています。

【原文】
在五ざいご物語ものがたりきて、いもうと琴教きんをしへたるところの、「ひとむすばむ」とひたるをて、いかがおぼすらむ、すこしちかまゐりたまひて、
「いにしへのひとも、さるべきほどは、へだてなくこそならはしてはべりけれ。
いと疎々うとうとしくのみもてなさせたまふこそ」

【現代語訳】
在五中将の物語(伊勢物語)を絵に描いて、妹に琴を教えている場面の、「人の結ばむ」と詠みかけているのを見て、(匂宮は)どのようにお思いになったのであろうか、(姉女一の宮の)少し近くにお寄りなさって、
「昔の人も、こういう間柄では、親しくしているものですよ。とてもよそよそしい扱いばかりなさるのがつらいです」

『源氏物語』「総角」より引用

※「妹に琴教へたる」とありますが、
『伊勢物語』で琴が出てくる本文は、
時頼本や最福寺本など一部を除いて、
ほとんどの写本にはありません。

匂宮は、美しい姉女一の宮に近寄り、
『伊勢物語』四十九段を引用しつつ
たわむれかかります。

この後に、匂宮が詠む和歌も、
四十九段の影響を受けています。

若草わかくさのねむものとはおもはねど
むすぼほれたる心地ここちこそすれ

【現代語訳】
若草のように美しいあなたと一緒に寝たいとは思いませんが
晴れ晴れしない気がします

『源氏物語』「総角」より引用

この和歌は、四十九段の
「うら若みねよげに見ゆる若草を人のむすばむことをしぞ思ふ」
と同じような趣ですね。
「若草」という言葉を引用している時点で、
わかりやすく影響を受けていると言えるでしょう。


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