・3分で読める源氏物語の簡単なあらすじ
・一部、二部、三部ごとの詳しいあらすじ
この記事では、
まず、3分で読めるくらいの文字数(約900文字)
で源氏物語のあらすじを紹介します。
その後で、
もう少し詳しく知りたい方のために、
一部、二部、三部に分けて
詳細なあらすじを記載しています。
源氏物語を一言で表す言葉や、
源氏物語の魅力についても
解説していますので、
ぜひ最後までお読みください😊
源氏物語の現代語訳にチャレンジしたい方は、
こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
読みやすい現代語訳をまとめました。
下記の目次をタップして
読みたいところからお読みください😊
3分で読める源氏物語のあらすじ
源氏物語の主人公は、
「光源氏」という美貌と才能に恵まれた男性です。
桐壺帝と桐壺の更衣の皇子ですが
皇族を離れ、「源」姓を与えられ臣下になります。
物語は、光源氏の恋愛遍歴や栄華と没落、
そしてその子孫たちの人生を描いています。
全体は3つのパートに分けられます。
<第一部>
第一部は、美しく成長した光源氏が
継母・藤壺の宮を
恋慕するところから始まります。
藤壺の宮の顔は、
亡くなった実母(桐壺の更衣)
にそっくりです。
光源氏は母に似た藤壺の宮を
恋い慕うようになります。
後に、強引な密通により
藤壺の宮は光源氏との子どもを出産します。
光源氏は他にも、
正妻・葵の上や空蝉、夕顔、
六条御息所など多くの女性と恋をしますが、
最終的には藤壺の宮に似た紫の上を最も愛します。
やがて光源氏は、
政敵である右大臣の娘・朧月夜と
恋愛関係に陥ったのがきっかけで
都から追放され
須磨・明石に滞在することになります。
そこで明石の君と出会い、娘をもうけます。
やがて京に戻ると、
光源氏と藤壺の宮の子が帝になります。
さらに、光源氏と明石の君の娘が
東宮妃として入内します。
光源氏は准太上天皇という
高い位に上り詰め、栄華を極めます。
<第二部>
第二部では、光源氏が異母兄・朱雀院の娘
女三の宮を正妻として迎えます。
しかし、女三の宮は柏木という青年と密通し、妊娠します。
一方、最愛の妻・紫の上は病気になります。
光源氏は自分の老いに気づき、過去の罪に思いを巡らせます。
そして紫の上が亡くなると、出家を決意します。
第二部の最後の帖「雲隠」には
本文がありませんが、
これは光源氏が亡くなったことを
示唆しています。
<第三部>
第三部は、
光源氏が没した後の時代が舞台で
光源氏の子孫がメインのお話となります。
女三の宮が生んだ薫が主人公で、
明石の姫君が生んだ匂宮が恋のライバルとなります。
宇治十帖と呼ばれるパートでは、
宇治八の宮の三姉妹(大君、中君、浮舟)
と薫・匂宮の恋模様が描かれます。
薫は自分の出生に悩みながらも
大君に惹かれていきますが、大君は死去。
大君に似た浮舟に恋をします。
匂宮は中君と結婚しますが、
浮舟にも強く心を惹かれます。
浮舟は匂宮と薫との三角関係に悩んだ末、
川に身を投げますが、横川僧都に助けられます。
浮舟は、出家して仏道を求めることになります。
物語は浮舟や男君たちの
その後を描かずに終わります。
相関図や登場人物はこちらの記事で
詳しく紹介しています。
本で源氏物語のあらすじを理解するなら
「よくわかる源氏物語」
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あらすじが簡潔な漫画と文章で
わかりやすく紹介されています。
さらに相関図や豆知識・コラムなどもついていて、
源氏物語初心者から、もっと深く学びたい人まで
楽しめる内容となっています。
源氏物語 第一部のあらすじ
源氏物語の第一部では、
光源氏の恋愛遍歴と、栄華の達成が描かれます。
光源氏は桐壺帝の皇子として生まれますが、
すぐに実母「桐壺の更衣」が亡くなってしまいます。
桐壺の更衣の死を悲しんだ桐壺帝は
その代わりとして、
顔がそっくりな藤壺の宮を入内させ、寵愛します。
光源氏が実母(桐壺の更衣)に似た
義母・藤壺の宮に恋をするところから、
光源氏の恋愛遍歴は始まるのです。
光源氏はその美貌ゆえ、
天皇になると国が乱れる恐れがありました。
さらに母親の身分が低く、
後見役もいないことから、
「源」姓をもらい、臣籍降下します。
光源氏は多くの女性と恋愛関係になります。
- 葵の上
- 花散里
- 空蝉
- 六条御息所
- 夕顔
- 末摘花
- 朧月夜
※こちらの記事では、
源氏物語の登場人物と系図の紹介をしています。
よければ参考にしてくださいね😊
それでもやはり、
義母・藤壺の宮こそ光源氏の理想の女性でした。
強引な密通の末に
二人の間には子どもが生まれます。
葵の上は光源氏の最初の正妻でしたが、
素直になれない冷たい性格で
気があわず夫婦仲は良くありませんでした。
それでも妊娠をきっかけに
二人の心理的な距離は縮まりますが、
葵の上は息子の夕霧を出産した後に
亡くなってしまいます。
光源氏と恋愛関係にあった
六条御息所の生霊にとりつかれて、
亡くなりました。
光源氏は、その後
藤壺の宮にそっくりな
紫の上を最愛の妻(正妻ではない)とします。
紫の上は、藤壺の宮の姪です。
紫の上が10歳の頃に
光源氏に引き取られ、養育されていました。
自由奔放に振る舞っていた光源氏ですが、
政治上の敵である右大臣の娘
朧月夜との密会がバレて、
世間への体裁が悪くなります。
さらに父・桐壺帝が亡くなったことで、
政治的に情勢が悪化。
ついには都を追放されてしまいます。
光源氏は須磨・明石に逃げて、
無位無官のまま2年半の間留まりました。
そこで、光源氏は明石の君
という女性に出会い、恋に落ちます。
明石の君は妊娠。
光源氏は都から呼び戻され、政界復帰します。
都では天変地異や、朱雀帝、弘徽殿大后の
病気、右大臣の死去などの不幸が相次いでいました。
朱雀帝は神の怒りを恐れ、光源氏を呼び戻したのです。
光源氏の帰京後、冷泉帝が即位します。
※冷泉帝は、
表向きは桐壺帝と藤壺の宮の子だが、
実際は光源氏と藤壺の宮の子。
明石の君と光源氏の娘、
明石の姫君は紫の上が引き取って
養育することになります。
初恋の人・藤壺の宮が亡くなり、
光源氏は悲嘆に暮れますが、
六条院という豪邸を作り、
紫の上、花散里、
秋好中宮(六条御息所の娘)、
明石の君を住まわせます。
その後、
昔の恋人・夕顔と頭中将(光源氏の親友)
の娘、玉鬘も六条院に迎えます。
玉鬘はとても美しい娘であり、
帝のもとへ入内の話もありましたが、
結局は髭黒大将という、
髭が濃く、色黒な男と結ばれてしまいました。
やがて光源氏と明石の君の娘
明石の姫君が東宮妃として入内します。
娘が東宮(次期天皇)の妃になることは、
娘が産む子どもが
未来の天皇になるということです。
光源氏がやがては天皇の祖父となり、
強大な権力を持てるということになります。
「外戚政治」と呼ばれます。
明石の姫君の入内により、
光源氏の栄華が極まっていきます。
光源氏は、准太上天皇にとなり、
冷泉帝が六条院を訪問します。
光源氏は人生の栄華を極めます。
光源氏のエピソードや
詳しいプロフィールは、こちらの記事で
解説しました!
源氏物語 第二部のあらすじ
源氏物語の第二部は、
光源氏の晩年の物語です。
正妻の裏切りによる無常を悟り、
やがて出家を志すその後半生が中心に
描かれています。
光源氏は、兄・朱雀院の娘、
女三の宮を正妻として迎えることとなりました。
女三の宮は、紫の上と同じく
藤壺の宮の姪なので、源氏は
女三の宮が藤壺に似ていることを
期待していました。
しかし、あまり似ていない上、
幼稚な性格をしており、
期待外れとなります。
さらには、運命のいたずらにより、
柏木(光源氏の親友・頭中将の長男)
が女三の宮の姿を御簾の隙間から見て、
恋に落ちてしまいます。
同時期に、
最愛の妻・紫の上は重病に
ふせってしまいました。
※若い頃は藤壺の宮を理想の女性として
恋焦がれていた光源氏ですが、
いつしか紫の上を最も愛するようになっていました。
光源氏が紫の上を看病している間に、
柏木と女三の宮は密通します。
昔、光源氏が義母・藤壺と密通したように
柏木は女三の宮と密通しました。
光源氏の身に、因果応報の波が押し寄せたのです。
光源氏は、
柏木が女三の宮にあてた手紙を見て
不倫の事実を知ります。
女三の宮は柏木との間の子どもを
妊娠し、出産してしまいました。
柏木は光源氏に睨まれ、嫌味を言われ、
心労からか、病気になり亡くなってしまいます。
女三の宮も罪の意識に苦しみ、
出家をして仏道に入ります。
ついに最愛の妻・紫の上も亡くなってしまい、
光源氏は深い悲しみに包まれます。
光源氏は出家して仏門に入ることを決め、
かつて紫の上と遣り取りした手紙を焼いて処分します。
第二部の最後の帖「雲隠」には、
本文は存在しません。
この帖で、光源氏が亡くなったことが
示唆されます。
以下の記事では、
光源氏の生涯を年表にまとめてあります。
『源氏物語』のストーリーを時系列で
確認したい方はぜひ見ていってください!
源氏物語 第三部のあらすじ(宇治十帖)
源氏物語の第三部は、光源氏の没後、
その子や孫たちの恋物語が中心となります。
女三の宮の息子・薫と
明石の姫君と今上帝の息子・匂宮が
メインの登場人物となります。
薫は、表向きは光源氏の子ども。
(本当は柏木の子)
匂宮は、光源氏の孫です。
匂宮が宮の御方
に思いを寄せるストーリーや、
玉鬘の二人の娘の結婚話が
語られた後、物語は「宇治十帖」
と呼ばれるパートに入ります。
宇治十帖は、薫と匂宮が
宇治八の宮(光源氏の異母弟)の
三姉妹(大君・中君・浮舟)を
巡って織りなす恋の物語です。
人間の儚さや貴族女性の生きづらさに
焦点をあてたストーリーとなっています。
女三の宮と柏木の不倫の子である
薫は自身の出生に悩み、
仏道に励んでいる宇治の八の宮を
よく訪れるようになります。
やがて八の宮の娘、大君に恋をします。
薫から話を聞いた匂宮も
宇治の姉妹に興味を持ち、
中君に思いを寄せるようになります。
やがて宇治の八の宮が亡くなり、
薫は大君に思いを告げるが
良い返事は聞けません。
大君は薫と中君との結婚を望みますが、
薫は匂宮と中君を結婚させます。
しかし、匂宮は母親(明石の中宮)に
反対され、中君のもとに通えなくなります。
大君はこれに悩み、
自分は中君のような屈辱を味わいたくないと
食事を拒否し、ついには病気になって亡くなってしまいました。
大君の没後、
中君は匂宮の邸に引き取られ、妊娠しますが、
匂宮は六の君(夕霧の娘)と結婚してしまいます。
※六の君は匂宮の正妻となる。
中君は不安な気持ちにとらわれますが、
男子を出産します。
匂宮の中君への愛情は衰えず、
生後五十日の祝いが盛大に催されます。
いっぽうで薫は
今上帝の皇女・女二宮と結婚しますが
愛する大君を亡くした心の傷は癒えません。
薫は中君に思いを
寄せるようになっていましたが
宇治に行った際に、
大君にそっくりの女性・
浮舟(大君・中君の異母妹)
を見て、強く心を惹かれます。
浮舟は、大君と中君の異母妹。
父・宇治八の宮からは娘と認知されず、
ずっと東国で暮らしていた。
浮舟の母は、
薫のことを念頭に置いて
娘を高貴な人の妻にしたいと
浮舟を中君の元に預けます。
ところが、
匂宮が浮舟を気に入ってしまったため、
浮舟の母はあわてて娘を三条の隠れ家に移しました。
浮舟はそこで薫の愛人となります。
薫は浮舟を宇治の邸に隠してしまいますが、
匂宮の浮舟への執着は消えず、
こっそり宇治まで行って
無理やり関係を結んでしまいます。
浮舟は情熱的な匂宮に
心惹かれていきますが、
薫は浮舟を京へ移そうとします。
匂宮も浮舟を自分の邸に
引き取ろうとします。
ついに薫に、匂宮との関係がバレます。
二人の貴公子の板挟みに悩んだ浮舟は、
川に身を投げて行方不明になってしまいます。
薫もそのことを知って深く悲しみます。
浮舟は実は生きていて、
横川僧都に助けられていました。
浮舟は、宇治院の樹の下で僧都に見つかります。
意識の戻った浮舟は僧都にお願いして、
出家してしまいます。
このことを知った薫は、
小君(浮舟の異父弟)を使いに出しますが、
浮舟は手紙の返事すら拒否します。
小君の報告を聞いた薫は、
「誰かが浮舟を隠しているのであろうか」
と疑うところで、『源氏物語』は終わっています。
\源氏物語の巻名一覧とあらすじを解説/
以下の記事には、薫の人生年表を
掲載しています。
源氏物語を一言でいうとどんなお話?
マザコンの物語
光源氏の物語を一言でいうならば、
「マザコンの物語」です。
光源氏は亡くなった実母・桐壺更衣に
似ている藤壺の宮に初恋をします。
そして、藤壺の宮の面影を求めて、
さまざまな女性と恋愛を重ねていくのです。
藤壺の宮と親戚関係の女性を
「紫のゆかり」と言います。
紫の上と女三の宮は、
「紫のゆかり」でした。
光源氏は、「紫のゆかり」
である紫の上を最も愛しました。
女三の宮にも興味を持ち、正妻にしています。
実母、そして実母によく似た藤壺の宮
への恋心が『源氏物語』の出発点となっているのです。
なので、私は光源氏のお話を一言で
「マザコンの物語」と表現しました。
池田弥三郎氏の「光源氏の一生」は、
源氏物語を短くまとめた入門書のような
本ですが、光源氏の生涯や性格がよくわかります。
身代わりの物語
光源氏の生涯は「マザコン」という一言で
表現できますが、
『源氏物語』全体でいえば、
「身代わり」という言葉が思い浮かびます。
光源氏は、藤壺の宮の身代わりとして、
紫の上を愛しました。
さらに亡くなった夕顔の身代わりとして
娘の玉鬘の世話をしています。
宇治十帖の主人公・薫は、
大君の身代わりとして浮舟を愛します。
浮舟を失った匂宮は、
宮の君(蜻蛉式部卿宮の娘)を
浮舟によそえて見るようになります…。
『源氏物語』に登場する男たちは、
愛する女性が手に入らなかったり、
失ったりした場合に、
顔のよく似た身代わりの女性を求める傾向にあるのです。
以上のような理由から、
私は『源氏物語』を一言で「身代わりの物語」と
呼ぶことができると思います。
源氏物語の魅力を簡単に言うと?
源氏物語というと、
「女たらしの光源氏」が
最も有名であり、注目されがちですね。
しかし、源氏物語の魅力は、
女性たちの描き方にあると思います。
源氏物語の中には、
様々なタイプの女君が登場します。
- 身分も知性もプライドも高い六条御息所。
- はかなげて可愛らしい夕顔。
- 奔放な気性の朧月夜。
- 容姿は良くないが素直で一途な末摘花。
- 二人の男性の間で懊悩する浮舟。
源氏物語を読んでいくと、
「この女君が好きだな」とか
「この女君とは気が合わなさそう…」
とか、人それぞれに出てくるはずです。
現代の小説を読むように、共感や批判ができてしまうんです。
源氏物語は、
本当によく女性の魅力を描いていると思います。
ぜひ源氏物語を読みながら、
どの女性が好きか、
自分はどの女性に似ているか、
考えてみてくださいね。
源氏物語が名作といわれる理由や
書かれた時期については、こちらの記事で
詳しく解説しています。
こちらの記事では、源氏物語の相関図と
登場人物の解説をしています。
源氏物語の内容に興味を持ったら、ぜひこちらも読んでみて下さいね。😊