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撫子
このサイトの管理人
30代後半の主婦。
高校生の頃から源氏物語に興味を持ち始めました。大学では源氏物語を研究し、日本語日本文学科を首席卒業しました。
30代になり、源氏物語を改めて学びなおしています。
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源氏物語絵巻はいつ作られたの?作者は誰?絵巻の特徴と内容も解説!復元模写はどこで見れる?

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源氏物語絵巻はいつ作られたの?作者は誰?

源氏物語 初心者
源氏物語絵巻って、いつ、誰によって描かれたものなの?詳しく教えて!


筆者
この記事では、源氏物語絵巻について、画像つきで、特徴や内容も含めて解説しますね。

この記事でわかること

源氏物語絵巻について
・いつ作られたか
・作者は誰か
・内容と特徴、技法
・絵巻が見られる場所
・源氏物語絵巻の魅力

平安時代以降、源氏物語の
絵画化は時代ごとに色々な形で
行われてきました。

最も有名なのは
12世紀前半(1100年代前半)に描かれた
「国宝・源氏物語絵巻」です。


※鎌倉時代や江戸時代にも源氏物語絵巻は
制作されました。

筆者
この記事では、「国宝・源氏物語絵巻」を「源氏物語絵巻」と呼び、解説していきますね。

目次

源氏物語絵巻はいつ制作された?時代背景も解説

「国宝・源氏物語絵巻」は、
平安時代後期・1100年代前半に
制作されたと言われています。

源氏物語絵巻が
作られた時代背景は、
はっきりとはわかっていませんが、

鳥羽天皇を中心とする宮廷サロンにて
制作されたと考えられています。


その根拠として
源師時の日記「長秋記」の記述が
あげられます。

「長秋記」の中に
源氏物語絵巻が制作されていたことを
示す記述があります。

筆者
源師時は平安時代後期の公卿であり、歌人でした。「金葉和歌集」に師時の和歌が5首、入集されているよ。


1119年11月27日、
師時は中宮(待賢門院璋子・鳥羽天皇の妃)
に呼ばれて宮中に参内しました。

この日、師時には中宮より
以下のような命令が下りました。

「源氏絵間紙を調進すべし」

源氏物語 初心者
「げ、げんじえまし?」って何?


「源氏絵間紙」というのが
具体的にどんなものなのかは
はっきりとは分かりません。

しかし、これが
げんじえまき」を意味するのであれば、

中宮の命令が
国宝・源氏物語絵巻の制作の
きっかけとなった可能性があります。

源氏物語絵巻には、贅沢な料紙や、
貴重な岩石から作る絵具が使われているので
当時の最高権力者に近い人々によって
制作されたことは間違いありません。


筆者
天皇の后・中宮の命令で作られたというのは、非常につじつまの合う仮説ということになりますね。

源氏物語 初心者
源氏物語絵巻は、鳥羽天皇の周辺にて制作された可能性が高いってことか!


平安時代後期。
この時代は、1108年に
源義親の乱が起きました。

この内乱をきっかけに、
平家が台頭し、1180年からの
源平合戦につながっていきます。

筆者
戦乱の世、そして武家社会の始まりですね。


源氏物語絵巻が描かれた時代は、
貴族社会が最後に輝いた時代であり
平安時代の終焉だったのです。

源氏物語絵巻の作者は誰?

源氏物語 初心者
源氏物語絵巻を描いた絵師さんは、誰なの?


源氏物語絵巻の作者は
江戸時代の鑑定士の主張により
藤原隆能であると伝えられていますが、
確証はなく、実際のところは分かっていません。

藤原隆能(ふじわらのたかよし)
12世紀半ばの貴族であり、宮廷画家。
鳥羽金剛心院の扉絵や、
鳥羽上皇の肖像画
などを描いた。

絵のニュアンスの違いから見て、
誰か一人による作品ではなく、
数人によるグループの作品と想定されています。


筆者
少なくとも4人の人物が、「国宝・源氏物語絵巻」の制作に関わっていたと指摘されているよ。


また、源氏物語絵巻の絵師は、
女性だったという意見
もあります。

源氏物語 初心者
その根拠は何!?


室町時代の源氏物語注釈書、
「源氏秘義抄」に
以下のような記載があるのです。

二十くわん…すなはちきのつぼねながとのつぼね…

「源氏秘義抄」より

「かつて二十巻の源氏物語絵巻があった。
作者は紀の局、長門の局…」
という意味にとられています。

勘の良い人はもう気づいたと思いますが、
「局(つぼね)」というのは

女房(宮中に仕えた女官)
につく呼称であり、女性なのです。

源氏物語 初心者
絵巻の作者が女官だって、ハッキリ書いてあるんだね!


「源氏秘義抄」に記された
源氏物語絵巻についての記述が
「国宝・源氏物語絵巻」のことだという
確証はありません。

しかし、源氏物語絵巻の制作に
女性絵師が関わっていた可能性は
大いにありそう
ですね。

源氏物語絵巻の絵師は
女性である。

その説を裏付けるように、
源氏物語絵巻の「竹河一」は
女性のしぐさを一人ひとり丁寧に
描き分けており、女性特有の感性が感じられます。

源氏物語絵巻の特徴と内容【技法の解説も】

源氏物語 初心者
源氏物語絵巻の内容が見たい!解説して!


「国宝・源氏物語絵巻」は
現存する日本最古の物語絵巻です。

「源氏物語」の各巻よりいくつかの
場面を選び、華麗な絵に詞書(文章)を
組み合わせて構成されているのが特徴です。


貴族の女性たちに好まれた物語絵で、
「女絵」のジャンルに属するとされています。

長い年月の間に絵巻は散逸され、
現在残っているのは19図です。

筆者
昭和に入ってから確認された「若紫」の断簡を加えると20図あります。


いくつかの図を画像つきで
紹介しますね。

詳しい解説本が読みたい方には、
こちらの本がおすすめです!

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また、源氏物語絵巻で特徴的な美術技法

  • 引目鉤鼻
  • 吹抜屋台
  • 独特の遠近法

についても解説しています。

源氏物語のストーリーは、
こちらの記事で簡単に解説しています。

蓬生

源氏物語絵巻 蓬生
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語15帖「蓬生」

光源氏が一時期執心していた末摘花は、
貧困を極めていました。

明石・須磨から帰京して
権勢を取り戻した光源氏は、
末摘花の邸の前を通りかかった際に
彼女のことを思い出し、訪問します。

末摘花はずっと光源氏を待ち続けていました。
その真心に心を打たれた光源氏は、
末摘花の生活保護を約束します。

絵巻は剥落が激しいですが、
雑草が生い茂る庭が大きく描かれています。


筆者
描かれた当時は、鮮やかな緑色で庭の草が描かれていたでしょうね。


右手には末摘花の邸が見えます。
傘をさしているのが光源氏。

関屋

源氏物語絵巻 関屋
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語16帖「関屋」

光源氏と一度だけ関係を持ったことがある
空蝉は、常陸国での夫の任期が終わり、
帰京途中に逢坂の関で光源氏の牛車と出会います。

空蝉は思い出で胸がいっぱいになります。

現存する絵巻の中で唯一の風景画。
剥落が激しいが、紅葉も描かれていました。

筆者
復元模写では、紅葉の微妙な彩りの変化も緻密に再現されているよ。

柏木二

源氏物語絵巻 柏木二
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語36帖「柏木」

柏木は、光源氏の正妻・女三の宮と
密通してしまい、罪悪感から
重病にかかり、臥せっています。

この絵は、
柏木の親友の夕霧が柏木を
見舞っているところです。

夕霧の装束は、桜の直衣(のうし)。
御簾の内側にかけられた
壁代の紋様にも桜が散りばめられていました。


筆者
復元模写では、紋様と色彩の美しい壁代が再現されています。

横笛

源氏物語絵巻 横笛
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語37帖「横笛」

柏木亡き後、
夕霧の夢に柏木が現れ、
「贈った笛を自分の子孫に伝えてくれ」と
訴えます。

その時、赤ん坊が突然、激しく泣き出して、
夕霧は目が覚めました。

絵巻では、妻の雲居の雁が、
「物の怪が家に入ってきた」
とって、魔除けの散米をし、
赤ん坊に母乳をあげています。

絵巻は剥落が激しく、
真ん中の女性、雲居の雁の手元が
はっきりしませんが、
赤ん坊に乳を含ませている姿が描かれています。

鈴虫一

源氏物語絵巻 鈴虫一
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語38帖「鈴虫」

光源氏は、出家した女三の宮の住まいの
前庭を秋の草原の風情に作り変えて、
さらに鈴虫も放ちました。

八月十五日の夜、
女三の宮が仏壇の前でお経を唱えて、
若い尼君が閼伽棚に花を供えていると、
光源氏が訪れ、女三の宮と和歌を詠み合います。

現存する図は剥落が激しいですが、
庭には、すすきや萩などの秋草が
描かれていました。

鈴虫二

源氏物語絵巻 鈴虫二
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語38帖「鈴虫」

光源氏と女三の宮が鈴虫の音を
聞いていると、夕霧たちがやってきて
管弦の遊びとなります。

冷泉院邸に場所を移し、
夜通し詩歌管弦の宴となりました。

一方で光源氏は、冷泉院と
話をしています。
冷泉院は、光源氏が義理の母・藤壺と
密通して生まれた不義の子なので、
顔がそっくりなのです。

この絵の人物の顔には、
特殊な白い絵具が使用されています。


筆者
月の光に照らされたような白色を表現したのでしょうね。

夕霧

源氏物語絵巻 夕霧
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語39帖「夕霧」

夕霧は、亡き柏木の妻・落葉の宮に
恋をしていました。

落葉の宮の母・一条御息所は
夕霧の本心を確認するため手紙を送りますが、
落葉の宮からの手紙と勘違いした
夕霧の妻・雲居の雁は手紙を奪い取ってしまいます。

雲居の雁は嫉妬心を露にしますが、
夕霧はうまく弁明できません。

雲居の雁は、体の線が透けるような
薄い装束をまっとていたことが
分析により分かっています。

御法

源氏物語絵巻 御法
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語40帖「御法」

紫の上は病気を患っていて、
その体は次第に弱っていきました。
光源氏に出家を願うも、許されません。

秋になって、紫の上の部屋に
明石の中宮の御座所を設けました。
紫の上が脇息(きょうそく)に
寄りかかっているところへ光源氏が訪れます。

三人はしんみりと和歌を詠み合います。
翌朝の未明に、紫の上は亡くなりました。

庭には、萩や桔梗など秋草が
強い風に揺さぶられている様子が
描かれていました。


筆者
紫の上の身に忍び寄る死の影。あらがえない運命を、強い風によって表現したのでしょう。

竹河一

源氏物語絵巻 竹河一
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語44帖「竹河」
光源氏の没後の物語です。

夫・髭黒大将が亡くなった後の玉鬘は、
娘二人の将来に悩んでいました。

姉の大君には求婚者が多く、
なかでも夕霧の息子・蔵人少将と
光源氏の息子・薫は強く執心していました。

絵巻は、正月の夕方に
薫が玉鬘の邸を訪れているところを描いています。

15歳の薫は大人っぽく優美な美男子。
屋内の女房たちは、
薫を一目見ようと御簾近くに
にじり寄っています。

筆者
庭にはえている木は、梅です。もともとは赤く美しい絵具で描かれていました。

竹河二

源氏物語絵巻 竹河二
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語44帖「竹河」

玉鬘の邸では、
娘の大君と中の君が
庭に咲く桜の所有権を争って碁を
打っていた。

その様子を、夕霧の息子・
蔵人の少将が垣間見ています。
蔵人の少将は大君に恋に落ちます。

この絵の中心にある木が桜です。

特殊な方法で絵を撮影したところ、
地面にも桜の花びらが落ちていることが
わかっています。

筆者
満開の桜が描かれていたんですね。

橋姫

源氏物語絵巻 橋姫
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語45帖「橋姫」

橋姫の帖から、
いわゆる「宇治十帖」が始まります。

【宇治十帖】
光源氏の息子・薫と
光源氏の孫・匂宮が
宇治の姉妹を巡って繰り広げる
恋物語。

宇治の八の宮は、妻亡き後、
二人の娘を育てながら
仏道に専念をしていました。

自身の出生の秘密に悩む薫は、
八の宮を仏道の師として
足しげく訪れるようになります。

3年後、薫は初めて
八の宮の娘姉妹を垣間見します。

絵の上部を覆う黒い雲は、
銀を主体に描かれていたことがわかっています。


筆者
退色する前は、幻想的なシルバーの霞だったのです。

早蕨

源氏物語絵巻 早蕨
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語48帖「早蕨」

宇治八の宮、大君が亡くなったあと、
妹の中君は、京の匂宮邸「二条院」に
引き取られることになります。

絵巻では、
女房たちが引っ越しの準備として
反物を整理したり、縫物をしたりする
姿が描かれています。

左の奥にかかれた中君は
宇治を離れる悲しみと不安に沈んでいます。

蛍光撮影法により、
女房のまとう装束から肉眼では
確認できな紋様が明らかになっています。

宿木一

源氏物語絵巻 宿木一
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語49帖「宿木」

帝(朱雀院の第一親王)
が参内した薫と碁を打っています。

母親を亡くした娘の女二の宮を薫の妻に
したい旨を和歌にしますが、
薫は中君に心惹かれているので、
この申し出を辞退する気持ちを和歌に詠みます。

左に描かれている女性は、
物好きな女房が二人の会話を
盗み聞きしようとしているのでしょう。

宿木二

源氏物語絵巻 宿木二
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語49帖「宿木」

中の君は匂宮との子供を妊娠していたが、
匂宮は六の君と結婚します。
結婚3日目の朝、六の君の姿を初めて
間近に見て、匂宮の心はますます惹かれていくのでした。

着かざる女性たちの十二単は、
絢爛たる色彩を使って緻密に描かれていました。

筆者
レースのように、下の衣が上の衣に透ける表現なども見られます。復元模写の図は大変美しく再現されています。

宿木三

源氏物語絵巻 宿木三
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語49帖「宿木」

秋の夕暮れに、
匂宮は妊娠中の中君を訪ねます。
中君は、匂宮が六の君と結婚したことを恨み、
さらに薫に言い寄られていることに悩んでいます。
匂宮は、中君を慰めるために
琵琶をひいています。

庭には、秋草が描かれていますが、
色あせていて、判別が難しい
状態になっています。

筆者
復元模写では、すすき、萩、藤袴が色彩豊かに再現されました。

東屋一

源氏物語絵巻 東屋一
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語50帖「東屋」

左近少将との縁談が破断となった浮舟は、
匂宮邸の中君のもとに預けられます。

匂宮は浮舟を見つけて言い寄るが、
浮舟は危うく逃れます。

中君は浮舟を慰めるために
女房に絵物語を取り出させ、
一緒に見て語らいます。

筆者
絵の中の絵には、山や海の風景が描かれていました。

東屋二

源氏物語絵巻 東屋二
出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

源氏物語50帖「東屋」

浮舟は匂宮邸の中君のもとに
滞在していたが、
匂宮が浮舟に言い寄ったことを知った
浮舟の母は、浮舟を三条の小さな家に移します。

このことを知った薫は、
秋の冷たい雨が降る中、
三条の家を訪れました。

女房の弁の尼は、
浮舟に薫と会うことを勧めています。

復元模写では、薫が縁側に手をついて
持たれ気味に宙をみあげる姿が

巧みに再現されています。

源氏物語絵巻の復元模写は、
「よみがえる源氏物語絵巻―全巻復元に挑む」
で全て見ることができます。

著:NHK名古屋「よみがえる源氏物語絵巻」取材班
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「国宝・源氏物語絵巻」が
当時の姿そのままに蘇った模写が見られます。

制作過程の苦労や分析方法なども
説明してあり、平安時代の絵師の仕事ぶりが
うかがい知ることができます。

筆者
とても感動するので、おすすめの一冊だよ!

源氏物語絵巻の技法1:引目鉤鼻

源氏物語絵巻では、
衣装や家具は細かく忠実に
描かれているのに、人物の顔は
すべて同じように描かれています。

キツネのような
真っ直ぐ吊り上がった目に、
「く」の字の鼻、小さな口が特徴的です。
輪郭はふっくらとして下膨れです。


この容貌の描写技法は「引目鉤鼻」と呼ばれ、
平安時代、鎌倉時代の絵画に見られる
独特の画法です。

源氏物語 初心者
平安時代の人はみんなこんな顔をしていたの?


筆者
あくまで引目鉤鼻は画法だよ。事実を反映しているわけではありません。


枕草子には次のような一節があります。

絵にかき劣りするもの なでしこ。菖蒲。桜。物語にめでたしと言ひたる男・女の形。

【現代語訳】
絵に描くと見劣りするものというと、撫子・菖蒲・桜。物語のなかで素晴らしいと言われている男女の容貌。

「枕草子」

美男美女を絵に描いてしまうと、
見ている人が逆に興ざめしてしまうという
感性が、平安時代の人々にはあったようです。

そこで引目鉤鼻の技法により
人物の容姿の個性を埋没させ、
見る人の想像に委ねたのでしょう。

源氏物語絵巻の技法2:吹抜屋台

源氏物語絵巻は
吹抜屋台(ふきぬけやたい)
の手法を用いて描かれています。

吹抜屋台は平安時代、鎌倉時代の絵画に
見られる技法であり、
室内描写において、屋根を取り払い
斜め上から見るようなアングルで
描くことです。

源氏物語 初心者
天井裏から覗き見しているような、ドキドキ感がかんじられるね。

源氏物語絵巻の遠近法

源氏物語絵巻では、
遠近感に違和感のある図があります。

⇒例えば、「東屋二」

この絵では
女性たちよりも奥にいるはずの
薫が、女性より大きく描かれている
のです。

しかも、斜め上からのアングルで
描かれているはずなのに、
横顔が見えています。


源氏物語 初心者
ほんとだ!絵師さんのミスかな?


筆者
源氏物語絵巻は、ただ客観的な空間を描いているわけではないんだよ。


さまざまな角度から見た絵が、
一つの絵として組み合わさって
描かれているのです。

物語中の人物に心理に近寄って
絵を描こうとした結果、

客観的に正しい遠近感ではなく、
空間をぐにゃりと歪める手法

なったのだと推測されます。

源氏物語絵巻の復元模写はどこで見れる?

筆者
源氏物語絵巻の実物はどこで見られるの?復元模写も展示してる?


「国宝・源氏物語絵巻」は、
江戸時代初期において、
3巻が尾張徳川家に、1巻が阿波蜂須賀家に
伝わっていたことがわかっています。

徳川本は、現在、
徳川美術館(愛知県名古屋市)に所蔵されています。

(15図が現存)

阿波蜂須賀家本は
五島美術館(東京都世田谷区)が所蔵しています。

(4図が現存)

源氏物語絵巻の復元模写も、
徳川美術館と五島美術館で展示されています。


⇒徳川美術館のHP

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