花散里は、
源氏物語に登場する女君の中でも
人気が高いお姫様で、
「花散里が好き」という人は多いです。
何度か言ってるけど、私が好きな源氏物語の女子は花散里。
— ふみ (@humi1994) April 18, 2024
サブキャラだけど生きの長いキャラ造形(恋人としては物足りないけど、家族として信用されて大事にされる。誰とも戦わないで済む。器が大きい)がいい( ¯꒳¯ )
容姿はあまり美しくありませんでしたが
穏やかで家庭的な性格が光源氏に気に入られ、
妻の中で紫の上に次いで大切にされました。
地味で控え目なのに
穏やな幸福をつかんだ花散里…
この記事では花散里の人物像について
詳しく、わかりやすく解説していきます。
【源氏物語 花散里の人物像】
・容姿、性格、身分、年齢
・登場巻とエピソード(あらすじ)
・夕霧の母代わりになった経緯
・光源氏との出会いはいつだったか
・光源氏との関係性について
花散里ってどんな人?容姿・性格・身分・年齢を紹介
まずは花散里の相関図と
周辺の人間関係について説明していきますね。
花散里の家系図と人間関係
以下は、
花散里の周辺にクローズアップした
家系図です。
源氏物語全体の相関図は、
下記を参考にしてください。
花散里:麗景殿女御の妹
光源氏の恋人⇒妻となる。
麗景殿女御:花散里の姉。
桐壺院(光源氏の父)の后の一人。
子どもはいない。
夕霧:光源氏と葵の上の息子。
葵の上の亡き後、母の実家で養育されたが
祖母(大宮)が年を取ったので
元服後は、花散里が母代わりとなる。
玉鬘:光源氏の恋人だった夕顔と
頭中将の娘。後に光源氏の養女となり、
花散里が母代わりとなり教育する。
花散里と姉の麗景殿女御は、
桐壺院亡きあとは、源氏の生活保護で
生計を成り立たせていました。
花散里は光源氏の恋人であり、
後に妻として二条東院、
および六条院に迎えられます。
しかし、光源氏から人柄を非常に信頼され、
夕霧と玉鬘の母代わりという大役を任されたのです。
後には、夕霧が側室(惟光の娘・藤典侍)
に産ませた孫のうち2名(三の君と二郎君)
を引き取って愛情をこめて育てます。
花散里の容姿
花散里は、
あまり美しい人ではありませんでした。
花散里の容姿については、
「少女」の巻にて夕霧(光源氏と葵の上の子)
が辛辣に批評しています。
【源氏物語 原文】
源氏物語「少女」の巻より引用
容貌のまほならずもおはしけるかな。かかる人をも、人は思ひ捨てたまはざりけり
(中略)
向ひて見るかひなからむもいとほしげなり。
(中略)
もとよりすぐれざりける御容貌の、ややさだ過ぎたる心地して、痩せ痩せに御髪少ななるなどが、かくそしらはしきなりけり。
【現代語訳】
器量は良くないな。このような方をも、父はお捨てにならなかったのだな。
向かい合って見られないような容姿なのが気の毒だ。
もともと美しくなかった容姿が、少し女盛りが過ぎた感じがして、痩せて髪が少なくなっている様子などが、このように難癖つけなくなるのだ。
向かい合って見られないくらいのブスで、
痩せて髪が少なくなっていたようです。
花散里の年齢は不明です。
この頃、光源氏は34歳でしたから、
仮に光源氏と同い年だとすると、
34歳の頃の容姿となります。
⇒花散里の年齢についての考察
\紫の上の容姿はこちらの記事で解説/
これより若い花散里の容姿の描写は
存在しませんが、
「もとよりすぐれざりける御容貌」
とあるので、若い頃から不美人だったのでしょう。
光源氏は、
美しくない花散里を見捨てず
妻の一人として面倒を見ることに
幸せを感じていました。
【源氏物語 原文】
源氏物語「初音」の巻より引用
縹は、げに、にほひ多からぬあはひにて、御髪などもいたく盛り過ぎにけり。やさしき方にあらぬと、葡萄鬘してぞつくろひたまふべき。我ならざらむ人は、見醒めしぬべき御ありさまを、かくて見るこそうれしく本意あれ。
【現代語訳】
縹色(はなだいろ・薄い藍色)のお着物は、なるほど、華やかではない色で、お髪などもすっかり盛りを過ぎてしまった。優美でないと、えびかずら(入れ髪)を使って補っていらっしゃるのだろう。私以外の人間なら、がっかりするようなご様子を、こうしてお世話することは嬉しく本望だ。
花散里の性格
花散里の性格を簡単に表現すると…
- おっとりしていて怒らない
- 浮気をしない
- 大人しくて内気
- 優しい
- 気取らずに自然体
- お裁縫が得意で家庭的
原文をいくつか確認してみましょう。
怒らない、嫉妬しない、おおらかな性格
【源氏物語 原文】
源氏物語「澪標」の巻より引用
よそながらも、明け暮れにつけて、よろづに思しやり 訪らひきこえたまふを頼みにて、過ぐいたまふ所なれば、今めかしう心にくきさまに、そばみ恨みたまふべきならねば、心やすげなり
【現代語訳】
(光源氏は)訪問はしないが、(使者をつかって)朝に夕につけ、様々なことを気をつけてお世話しているのを頼りにして、(花散里は)生活しているので、思わせぶりに、怒ったり恨んだりなさることがないので、お心安いようである。
2年4か月の須磨・明石での流浪生活を終え、
都に帰ってきた光源氏は、
なかなか花散里のもとを訪問しませんでした。
しかし、花散里は怒ることも恨むこともなく
おっとりと生活していたので、光源氏も気楽だったのです。
浮気をしない
【源氏物語 原文】
源氏物語「澪標」の巻より引用
あだあだしき筋など、疑はしき御心ばへにはあらず。年ごろ、待ち過ぐしきこえたまへるも、さらにおろかには思されざりけり。
【現代語訳】
浮気めいたことなど、疑いがでてくるような性格ではない。長い間、お待ち申し上げていらしたのも、まったく並大抵のこととお思いにならなかった。
花散里は、
光源氏の須磨・明石の流浪の期間も、
帰京してからの空白の期間も、
他の男を通わせることもなく、
ずっと一途に待っていたのです。
光源氏も、花散里の貞淑なところを信じて
安心していたのでした。
光源氏は一途で貞淑な女性が好きです。
末摘花も花散里のように
健気な性格をしており、光源氏から
丁重に扱われました。
穏やかで優しい
【源氏物語 原文】
源氏物語「少女」の巻より引用
ただのたまふままの御心にて、なつかしうあはれに思ひ扱ひたてまつりたまふ。
【現代語訳】
ただ(光源氏の)おっしゃっるとおりになさるご性格なので、(夕霧のことを)親しく可愛がってさしあげる。
花散里は、
光源氏と葵の上の子・夕霧の
母親代わりをします。
花散里は快く夕霧の母代わりを引き受け、
優しく接したのです。
「対の御方(花散里)だけが
優しくしてくれる」
という夕霧の発言もあるほど
花散里は聖母のような人でした。
時にはお説教をすることもありましたが、
けっして厳しく追及することはありませんでした。
花散里は光源氏の養女・玉鬘の母代わりも
喜んで引き受けます。
気取らず自然体
【源氏物語 原文】
源氏物語「少女」の巻より引用
例のおいらかにけしきばまぬ花散里ぞ、その夜、添ひて移ろひたまふ。
【現代語訳】
いつものようにおっとりと気取らない花散里は、その夜、源氏と一緒にお引っ越しなさる。
六条院が完成して、
花散里は二条東院から引っ越しをしました。
自我を出さず、気取らずに、
光源氏や紫の上と同じ日に引っ越しをしたのです。
また、
花散里はお世話をしていた夕霧に
几帳の影からちらちらと姿を見せていました。
高貴ぶらず、気取らず、自然体な女性だったのです。
内気
【源氏物語 原文】
源氏物語「梅枝」の巻より引用
夏の御方には、人びとの、かう心々に挑みたまふなる中に、数々にも立ち出でずやと、 煙をさへ思ひ消えたまへる御心にて、ただ 荷葉を一種合はせたまへり。さま変はりしめやかなる香して、あはれになつかし。
【現代語訳】
花散里は、夫人方が思い思いに(薫物合わせの)競争をなさっている中で、人並みにもなるまいと、ただ荷葉(かよう)の香を一種だけ調合なさった。変わった雰囲気の、しっとりした香りで、しみじみと心惹かれる。
花散里は、他の女性たちが
薫物合わせの競争をしているときに、
控えめにただ一種類だけお香を調合したのです。
他人より目立とうとか、
他人より優れていたいという気持ちはなく、
内気で控えめな性格でした。
お裁縫が得意
花散里はお裁縫や染色が得意な姫君でした。
女房に指示を出しながら、花散里の部屋では
六条院で使用するさまざまな着物が作られていたのです。
【源氏物語 原文】
源氏物語「野分」の巻より引用
何にかあらむ、さまざまなるものの色どもの、いときよらなれば、「 かやうなる方は、南の上にも劣らずかし」と思す。
【現代語訳】
何の着物であろうか、さまざまな着物の色が、とても美しいので、「このような技術は紫の上にも負けないな」とお思いになる。
紫の上も裁縫や染色は得意としていたようです。
花散里は紫の上に劣らない技術を持っていました。
花散里の性格まとめ
おおらかで優しく、家庭的な花散里の性格を
光源氏は高く評価、一人の人間として信頼し、
丁重に扱っていました。
ただし、
光源氏32歳「薄雲」の巻の時点で、
二人の間には男女の関係は無くなっていました。
容姿があまり美しくなかったので、
花散里と光源氏が情熱的な恋愛を繰り広げる
ことはありませんでしたが、
花散里は光源氏一族の「母親」とも言うべき
立ち位置で、主婦としての強い信頼を得たのです。
花散里の身分
花散里は、
桐壺帝の后の一人・麗景殿女御の妹でした。
花散里・麗景殿女御の父親が
誰であるかは不明ですが、
娘が女御として入内できるということは
父は摂関家や大臣である可能性が高いです。
花散里の年齢
花散里の年齢は不明です。
花散里の姉は、
桐壺帝の后・麗景殿女御です。
麗景殿女御が
同じく桐壺帝の后の藤壺の宮と
仮に同い年だとすると
麗景殿女御と光源氏の年の差は
5、6歳でしょう。
ということは、麗景殿女御の妹である
花散里は光源氏とだいたい同い年くらい
ではないでしょうか?
花散里の人生のエピソード
花散里の登場巻と
簡単なあらすじ(エピソード)
を一覧表にまとめました。
巻名 | エピソード | 光源氏の年齢 |
---|---|---|
花散里 | 光源氏、花散里の邸を訪問。 姉・麗景殿女御⇒妹・花散里の順番で訪問して語らう。 | 25歳 |
須磨 | 花散里、光源氏の須磨退去を悲しむ。 須磨退去直前に花散里を訪れ、別離の挨拶をする。 身辺整理をして実用品などを花散里に贈る。 花散里、須磨に旅立った光源氏に和歌を贈る。 光源氏、人に命じて花散里邸の土塀の修理をさせる。 | 26歳 |
澪標 | 光源氏、須磨・明石から帰京 二条東院の改築が開始する。 (花散里などの女性を住まわせるため) 約3年ぶりに花散里を訪問。 | 29歳 |
松風 | 二条東院が完成。 花散里の引っ越し。西の対を住居とした。 政所、家司などの事務所が 花散里の支配下となり重々しく扱われる。 | 31歳 |
薄雲 | 花散里の申し分ない生活の様子。 光源氏は時々訪問するが、夫婦生活は途絶えている。 女として愛されないことを花散里はもう諦めている。 | 32歳 |
朝顔 | 光源氏、紫の上に交際してきた女の特徴を語る。 花散里を「昔から気立てがよく、夫婦として離れられない」と評する。 | 32歳 |
少女 | 花散里、五節の舞姫の付き添い女房の衣装を作る。 花散里、光源氏に依頼され夕霧の母代わりになる。 夕霧に優しく接する。 夕霧、花散里の容姿を心の中で酷評。 六条院が完成、花散里は北東の部屋に住む。 (夏の御殿) | 34歳 |
玉鬘 | 花散里、光源氏の養女・玉鬘の母代わりとなる。 都の風習などの教育係となる。 | 35歳 |
初音 | 新春正月、光源氏は花散里の部屋を訪問して挨拶。 夜の訪れはないが、仲睦まじく麗しい夫婦の様子。 容姿の醜さが語られる。 | 36歳 |
蛍 | 夏の御殿の馬場殿で騎射の競技が開催。 花散里、自分の御殿での会を名誉に思う。 花散里と光源氏は別々の場所で就寝。 | 36歳 |
野分 | 夕霧、美しい紫の上と不美人な花散里の容貌を比較。 花散里、台風の激しい嵐に怯える。 台風が去った後、光源氏は花散里を見舞う。 | 36歳 |
梅枝 | 花散里、薫物合わせで荷葉の香を一種調合。 | 39歳 |
若菜下 | 花散里、夕霧の側室・典侍の子を引き取って養育。 | 46歳 |
夕霧 | 夕霧、花散里に恋愛問題を弁明。 花散里、夕霧の側室・典侍の子 三の君と、二郎君を引き取っていることが分かる。 | 50歳 |
御法 | 花散里、紫の上の開催する法華経供養の法会に参加。 死期を悟った紫の上と和歌を贈答する。 | 51歳 |
幻 | 紫の上が逝去し悲しむ光源氏と和歌を贈答。 | 52歳 |
匂宮 | 二条東院を遺産として引継ぎ、住まう。 | 60歳頃 |
花散里のエピソードの中で
繰り返し登場するのは、
光源氏と花散里が早くから男女の関係では
無くなっていたということです。
それでも、
花散里は善良な性格と身分の高さゆえに
光源氏から大切に扱われ、
夕霧の母代わりという重要な役割も担うことになるのです。
花散里は夕霧の母代わりだった
花散里は、
光源氏と葵の上の息子・夕霧の
母代わりという役割をになっていました。
「葵」の巻にて
夕霧の母・葵の上は産後すぐに死去。
夕霧は葵の上の実家(左大臣家)
にひきとられ、祖父母の左大臣と大宮、
乳母たちに育てられる。
夕霧の祖父・太政大臣が「薄雲」の巻で死去、
祖母・大宮も高齢になり、
いつ亡くなるかわからないので、
光源氏は花散里を夕霧の母代わりに抜擢。
夕霧はまだ元服したばかりで
12歳でした。
教育したり相談したりする母親が
必要だったのです。
花散里は人柄がよく、家庭的で
聡明な女性だったので
光源氏は母代わりとして花散里に
夕霧を任せました。
花散里は、子どもや若い人の
お世話をするのが好きだったし、
従順な性格だったので、
喜んで夕霧の母代わりを引き受けました。
夕霧が成長して、恋愛問題を起こしたときは、
軽く説教もしており、
しっかり母代わりを務めていました。
花散里が勝ち組である理由
勝ち組、負け組の概念が
「源氏物語」の中にあるとするならば、
花散里は勝ち組の部類に入るでしょう。
- 六条院の夏の御殿で何不自由ない生活
- 夕霧・玉鬘の母代わりを任された
- 夕霧の子を孫として可愛がった
- 不美人なのに源氏から捨てられなかった
- 源氏の死後は二条東院を遺産としてもらった
以上の5点において、
花散里はとても幸福な人生を送ったのです。
ただし、
花散里は30代前半の頃には既に
光源氏から女性として見てもらえず、
夜の夫婦生活はありませんでした。
完璧な人生ではありませんでしたが、
経済的にも困らず、実子ではないものの
子育て、孫育ても経験できて幸せな一生だったのです。
そもそも、
他人と競うことが嫌いで
おっとりした花散里は、
「勝ち組・負け組」の概念に
興味すらないでしょうね。
花散里が勝ち組になれた理由
花散里が勝ち組になれた理由は、
人柄の善良さです。
光源氏の訪問が少なくても、
口うるさく文句を言いませんでしたし、
おっとり従順で、なおかつ聡明でした。
裁縫と染色が得意で、
女房に指示をして六条院で必要な
衣装も準備していました。
あさきゆめみしの花散里
あさきゆめみしのオリジナルストーリー
「あさきゆめみし」では、
「源氏物語」原作にはない
花散里と光源氏の出会いの
オリジナルストーリーが描かれています。
<あさきゆめみしのストーリー>
10代と思われる光源氏が、
麗景殿の近くにて、木の棒で
橘(たちばな)の花を打って遊んでいた。
御簾の中から花散里が
「橘をいじめないでください」
と声をかける。
光源氏は橘の枝で指を怪我してしまい、
花散里が手当をすると、
光源氏は花散里が着ている着物の
染色を褒める。
(花散里が自分で染めた)
光源氏は後日、
端午の節句に花散里に立派な
薬玉を贈る。花散里は感激する。
光源氏は花散里の正直で優しい性格に
惹かれ再度訪問し、
「わたしの恋人になってくれますか?」
と申し込む。
該当のシーンは、
「あさきゆめみし新装版」の2巻に掲載されています。
あさきゆめみしの花散里が太っている理由
「あさきゆめみし」の花散里は、
少しふっくらした体形の女性として描かれています。
現代ではスレンダーであることが、スタイルがいいというプラスの評価になってしまって、当時のニュアンスが伝わらない。絶世の美男が通うには、ちょっと格好悪い相手というイメージを出すには、逆にちょっと太らせたほうがいいと判断しました
「完全保存版 あさきゆめみしの世界」より引用
「痩せている」というのは当時の価値観で
格好悪いことだったのです。
(当時は太っている女性がモテた)
でも逆に現代では、痩せているほうがモテる時代。
「花散里」=容姿が良くない
と現代の読者に分かりやすく伝えるためには、
太らせるほうがいいと判断したというわけです。
\平安時代の美人の基準はこちらで紹介/
花散里と光源氏の出会い
「源氏物語」の原作には、
花散里と光源氏の出会いのシーンはありません。
いきなり「花散里」の巻で
恋人の一人として登場するのです。
【源氏物語 原文】
源氏物語「花散里」より引用
御おとうとの三の君、内裏わたりにて はかなうほのめきたまひしなごりの、 例の御心なれば、さすがに忘れも果てたまはず
【現代語訳】
妹の三の君(花散里)は、宮中あたりでちょっとお逢いになったことがあり、(光源氏は)例のご性格なので、そうはいってもすっかりとは忘れることはできず
花散里の姉は
桐壺帝の麗景殿女御でしたから、
妹の花散里も内裏に出入りしていたのでしょう。
そこで桐壺帝の皇子・光源氏と出逢い、
一夜の契りを交わすようなことが
あったと推測されます。
漫画「あさきゆめみし」では
原文には書かれていない
光源氏と花散里の出会いを想像して
オリジナルストーリーが描かれているのです。
他にも「あさきゆめみし」と原作の違いは
色々あります。
以下の記事で詳しく解説しました。
花散里と光源氏の関係
花散里と光源氏の関係は、
最初は恋人関係でしたが、後に夫婦となりました。
「松風」の巻で二条東院が完成し、
花散里は引っ越しました。
丁重な扱いを受け
正式に側室の一人になったのです。
花散里と光源氏は、最初は
男女として契りを結んでいましたが、
段々と夜一緒に寝ることが
なくなっていきました。
しかし、花散里を嫌いになったわけではありません。
光源氏は花散里の人柄の善良さを
愛していて、夜は一緒に寝ないけれども、
一人の人間として敬い、仲睦まじい夫婦生活を
送ったのです。
花散里の由来となった和歌
麗景殿女御の妹の三の君が
「花散里」と呼ばれるようになった由来は、
麗景殿女御が光源氏に贈った和歌にあります。
橘の香を
なつかしみ
ほととぎす
花散る里を
たづねてぞとふ
(「花散里」の巻より)
【意味】
橘の香りを懐かしく思って
ほととぎすが花の散ったこの邸を訪ねてきました
この和歌では、
「花散里」は三の君のことではなく
麗景殿女御と三の君が住む邸宅のことを
指しています。
後の「須磨」の巻からは、
妹三の君のことを「花散里」と
呼ぶようになります。
この記事では、
源氏物語に出てくる花散里について
人物像を詳しく説明しました。
花散里の魅力がわかっていただけたと思います😊
源氏物語のその他の登場人物については、
こちらの記事で紹介しているので
参考にしてくださいね。
源氏物語の現代語訳に
これからチャレンジする方は、
こちらの記事が参考になります!