・光源氏のクズエピソード7選
・光源氏の生い立ち、性格、顔立ち
・光源氏の本名
・光源氏の女性関係まとめ
この記事では、
「源氏物語」の主人公・光源氏の
クズエピソードを詳しく紹介します。
さらに光源氏の生い立ちや性格も
解説しました。
光源氏の顔立ちは
超イケメンと言われますが、
どのくらいイケメンなのかも説明しています。
この記事を最後まで読むことで、
光源氏のことがバッチリわかります😊
源氏物語、全体のあらすじが読みたい方は、
こちらの記事がおすすめです!
光源氏はクズ?女たらしのクズエピソード7選!
源氏物語では、
光源氏のクズエピソードが数々語られています。
この記事では、
その中では有名なもの、ひどいものを
7つ選んで紹介しますね!
藤壺の宮<義母と密通…!子どもまで生まれてしまう>
光源氏の最大のクズエピソードは、
義母である藤壺の宮と密通してしまったことです。
光源氏の実母(桐壺の更衣)は、
光源氏が幼い頃に亡くなってしまいます。
悲しみにくれた父(桐壺帝)は
心の慰めとして
実母(桐壺の更衣)そっくりの
藤壺の宮を入内させるのです。
光源氏は亡き実母にそっくりの
義母・藤壺の宮に幼い頃から強く心を惹かれます。
大人になってからも執着し続け、
ついには密通して、子どもを作ってしまうのです。
その時には既に、光源氏には、
葵の上という正妻がいましたから、
現代的に言うとW不倫ということになります。
光源氏と藤壺の宮とは
重い不倫の罪を背負うことになりました。
当時、天皇の后が
他人と密通することは重い罪。
后も相手の男も罰せられた事例があります。
藤壺の宮についてはこちらの記事で
詳しく解説しました!
そして罪の子は、
やがて冷泉帝として皇位についてしまうのです…。
巻名 | エピソード |
---|---|
桐壺 | 光源氏の実母が亡くなる。実母そっくりの藤壺の宮が入内。光源氏、葵の上(正妻)と結婚。 |
若紫 | 18歳の夏、光源氏は藤壺の宮と密通。藤壺の宮は妊娠する。 |
紅葉賀 | 藤壺の宮、男子を出産する。藤壺の中宮となる。 |
賢木 | 光源氏、再び藤壺の宮に迫るが失敗。藤壺の宮、出家する。 |
薄雲 | 藤壺の宮、死去。 |
光源氏は、
藤壺との密通、妊娠を罪に感じながらも、
「賢木」の巻で再び藤壺の寝所に忍び寄り
迫るのです。
藤壺は拒み通し、再度の密通は
失敗に終わりますが、
欲望の強さ、諦めの悪さ、
罪を罪とも思わぬふてぶてしさ、
まさにクズエピソード中のクズエピソードと
言えるでしょう。
若紫(紫の上)<10歳の少女を養育して理想の女性に>
光源氏のクズエピソードとして
有名なものとして、
若紫の連れ去りがあげられます。
光源氏は18歳のときに、
病気療養で訪れていた北山という場所で
憧れの人・藤壺の宮そっくりの少女を
見かけます。
光源氏は、
若紫を京の自宅に連れ去り、
和歌やお習字、琴などの教育を施し、
自分好みの女性に育てあげます。
そして、正妻の葵の上が
亡くなった翌年の正月に
若紫と男女の関係を結ぶのです…。
若紫はまだ14歳でした。
巻名 | エピソード |
---|---|
若紫 | 10歳の若紫、光源氏に誘拐される。 |
葵 | 正妻、葵の上の死後、14歳の若紫と結婚。 |
- 幼い少女を自宅に連れ去る
- まだ14歳の少女と無理やり結婚。
- 正妻の死後すぐに少女と結婚。
以上3点において
光源氏のクズっぷりが発揮されています。
こちらの記事では、
若紫(紫の上)について詳しく
解説しています🌸
源典侍<老女と恋愛関係になった!>
光源氏は、10歳の少女(若紫)に
好意を持つくらいなのだから、
ロリコンなのかと思いきや
紅葉賀の巻では、
57、58歳の老女と恋愛関係になっています。
相手の名は、源典侍。
宮中に仕える女官です。
琵琶が上手で、家柄も趣味も良い女性ですが、
高齢になっても非常に男好きで
光源氏にちょっかいを出します。
宮中には美人の女官はたくさんいたので、
光源氏は普通の美人では興味を
起こせなくなっていました。
そこへ老女からアプローチが来たものだから
不思議な興味を覚えて関係を持ってしまうのです。
光源氏は、10歳の少女から
50代後半の老女まで
ストライクゾーンの広い女たらし
でした。
朧月夜<政敵の娘と恋愛関係になった!>
光源氏には、政敵がいました。
それは右大臣です。
【なぜ右大臣は政敵なのか?】
光源氏の父(桐壺帝)には
藤壺の宮以外にも
弘徽殿女御(のちの弘徽殿大后)
という后がおり、
大きな権力を持っていました。
(弘徽殿女御の息子は朱雀帝)
弘徽殿女御の父は、右大臣。
右大臣は光源氏に権力が集中するのを
気に入っておらず、
敵対する立場だったのです。
その右大臣の娘、弘徽殿女御の妹に
朧月夜の君という美女がいました。
「花宴」の巻にて
宮中で桜の宴会が開かれた夜、
光源氏は朧月夜の君と出逢い、
男女のちぎりを結んでしまうのです。
巻名 | エピソード |
---|---|
花宴 | 光源氏20歳、桜の宴の夜に朧月夜の君と出会う。 |
賢木 | 朧月夜の君と逢瀬を重ねる。ついに右大臣に発覚する。 |
須磨 | 朧月夜の君との関係がバレた光源氏、体裁が悪くなり須磨に退去する。 |
若菜上 | 光源氏と朧月夜の君、こりずに密会する。 |
若菜下 | 朧月夜の君、出家する。 |
朧月夜は東宮(のちの朱雀帝)のもとに
入内し、尚侍として仕えていましたが、
光源氏との関係がバレて一時、
宮中に参内できなくなります。
光源氏は、
朧月夜の君が入内していることを
知っていながら逢瀬を重ねたのです。
初めて朧月夜の君と
逢った日の翌日、
光源氏はこのように思っています。
六は春宮にたてまつらむとこころざしたまへるを、いとほしうもあるべいかな。わづらはしう、尋ねむほどもまぎらはし、さて絶えなむとは思はぬけしきなりつるを、いかなれば、言通はすべきさまを教へずなりぬらむ。
源氏物語「花宴」より引用
【現代語訳】
六の君は東宮に入内する予定のようだから、昨夜の女性がその人だったら可哀想だな。厄介だなあ。会うこともなかなか難しい。もう会わないとは思っていない様子であったが、なぜ手紙を遣り取りする方法を教えなかったのだろう。
※六の君=朧月夜の君のこと
相手の女性の立場や幸せを考えない
とんでもないクズだということになります。
しかも都合が悪くなったから
須磨に逃げるという不誠実さ。
女の敵ですね。
\朧月夜の君の解説記事はこちら/
明石の君<退去先の明石で堂々と浮気する!>
光源氏は政敵・右大臣の娘
朧月夜の君との関係がバレた上に
父桐壺帝が亡くなり
政治的に風向きが悪くなったため
須磨・明石(現在の神戸のあたり)に
一時的に退去します。
その先で、光源氏は
明石の君という美人と出逢い、
関係を結んでしまいます。
明石の君の父親は、
元は播磨国の受領(下級貴族)であり、
出家して一家で明石に住んでいた。
(明石の入道と呼ばれている)
自分の娘から、将来帝と后が生まれる
という夢のお告げを信じて、
夫婦で娘・明石の君を大事に育てていた。
そして、
明石の君は妊娠してしまうのです。
この時、すでに光源氏は、
紫の上と結ばれていましたから、
完全に浮気ですよね。
さらに光源氏は、紫の上に
明石からこのような手紙を送っています。
我ながら心より外なるなほざりごとにて、疎まれたてまつりし節々を、思ひ出づるさへ胸いたきに、また、あやしうものはかなき夢をこそ見はべりしか。かう聞こゆる問はず語りに、隔てなき心のほどは思し合はせよ。
源氏物語「明石」より引用
【現代語訳】
自分ながら心にもない出来心を起こして、あなたに恨まれた出来事を、思い出すのさえ胸が痛くなります。なのに、またしても、奇妙なつまらない夢を見ました。このような問わず語りに、隠し事をしない私の心を理解してくださいね。
要するに、
「明石で浮気しちゃったけど、
正直に言うから許してね」
と言っているのです。
紫の上を大切にしていると思ったら、
平気で別の女と浮気して
子どもまで作ってしまうクズ男です。
\明石の君の解説記事はこちら/
玉鬘<亡き恋人(夕顔)の娘に言い寄る>
光源氏は17歳の頃に、
夕顔という美しい女性と
恋愛関係にありました。
その夕顔は、光源氏と出会う前に
光源氏の親友・頭中将との間に
娘を一人もうけていました。
その娘は、玉鬘と呼ばれています。
光源氏は18年後(光源氏:35歳)に、
その玉鬘を見つけ出し、
六条院に迎え、養女にするのです。
玉鬘は非常に美しい女性だったため、
多くの求婚者が集まりますが、
光源氏も彼女に恋心を示し、言い寄ります。
世とともの心にかけて忘れがたきに、慰むことなくて過ぎつる年ごろを、 かくて見たてまつるは、夢にやとのみ思ひなすを、なほえこそ忍ぶまじけれ。思し疎むなよ。
源氏物語「胡蝶」より引用
【現代語訳】
(夕顔を)いつになっても忘れられないので、慰めることができず過ごしてきましたが、こうして(夕顔そっくりの)あなたにお会いできるのは夢のようです。やはり我慢することができません。嫌いにならないでくださいよ。
光源氏は、玉鬘を他の男と結婚させて、
通い婚として玉鬘を六条院に置いたままにし、
ときどきこっそり自分と夜を過ごすような
関係を望んでいました…。
最終的には、
さすがの光源氏も自制をして
玉鬘とは男女の関係にはなりませんでした。
玉鬘は髭黒大将の妻となり、
六条院を出て行ったのです。
しかし、元恋人の娘に言い寄り
不倫関係を望む
クズっぷりには呆れてしまいますね。
\玉鬘の解説記事はこちら/
女三の宮<40歳で10代の少女と再婚!>
光源氏は40歳になってから、
15歳の少女と再婚します。
その再婚相手は、女三の宮です。
光源氏の異母兄(朱雀院)の第三皇女。
光源氏の正妻となる。
幼稚な性格で才気がない。
光源氏は中年になってからも
好色な気持ちが衰えませんでした。
女三の宮が憧れの女性・藤壺の宮の
血縁ということもあり、
「藤壺の宮に似ているのではないか」
と興味を持ち、
若い女三の宮を正妻とします。
それまで、正妻格の存在として
大切にされていた紫の上は大きな
ショックを受け、病気になってしまいます…。
光源氏は、幼稚な性格の
女三の宮に失望し、
紫の上の素晴らしさに気づきます。
女三の宮との結婚に後悔するのでした。
その後、女三の宮は
別の男(柏木)と不倫します。
紫の上も亡くなってしまいます。
光源氏の生涯も、静かに終わりを迎えるのです。
光源氏は女三の宮との結婚により
最愛の女性・紫の上を大きく裏切るのです。
欲望に負けて、
目の前の大切な人を蔑ろにしてしまうクズ男ですね。
\女三の宮の解説記事はこちら/
源氏物語の登場人物の
詳しい相関図は、こちらの記事に掲載しています。
物語中の人間関係を
頭の中で整理したいときに
お役立てください😊
光源氏はどんな人物だったの?性格や生い立ち
どんな人物だったか、性格や生い立ちを教えて!
生い立ち
光源氏は、
桐壺帝と桐壺の更衣の皇子として
誕生しました。
\源氏の母・桐壺の更衣の解説記事/
3歳の頃に母・桐壺の更衣は
亡くなり、1年ほど祖母の家で育てられました。
幼い頃から非常に美しい顔をしていて、
学問・音楽の才能も
周りの人々を驚かせるほどでした。
7歳くらいの頃に、
高麗人の人相見が、光源氏の
人相を以下のように判断します。
帝王の地位につく相をお持ちの方です。しかし、そういう人として占うと、国が乱れるかも知れません。かといって、朝廷の重鎮となり、政治を補佐する人物して占うと、その相でもないようです。
父の桐壺帝は、
光源氏を親王のまま皇族として
扱うと、天皇の位を狙っていると
誤解されてトラブルに遭うのではないかと
恐れました。
そこで、桐壺帝は
光源氏に「源」の姓を与え、
臣籍降下させることにしたのです。
9歳の頃、父・桐壺帝は、
桐壺の更衣そっくりの藤壺の宮を
入内させます。
幼い光源氏は、
母そっくりの藤壺の宮を恋しく思い、
藤壺に出入りするようになりました。
ところが、12歳の頃に光源氏は元服します。
元服の儀式をすると、
当時はもう大人として扱われたので、
藤壺の宮に会うことはできなくなりました。
光源氏は
左大臣の娘・葵の上を正妻としますが、
心は藤壺の宮ただ一人を愛していました。
その後の光源氏の恋愛遍歴は全て、
母に似ている藤壺の宮の
面影を追って繰り広げられていきます。
性格
光源氏の性格は、
- 女たらし
- 一途
- マメ・誠実
- 強引
- 女性に対して雄弁
- 穏やかだが嫌味
です。
一つずつ解説していきましょう。
女たらし
光源氏は希代のプレイボーイでした。
「あの邸に上品な美人がいるらしい」と
噂を聞けば、すぐ訪問して関係を持とうとします。
物語の中で、
恋愛関係に陥った女性の数は
主要なもので13人です。
一途
「女たらし」と「一途」とは
矛盾しているように思えますが、
光源氏はその生涯を通してずっと
藤壺の宮ただ一人を理想の女性として
思い続けていたのです。
多くの女性と恋愛関係に陥る
いわゆる女たらし、プレイボーイでしたが、
頻繁に女性を藤壺の宮と比較し、
藤壺の宮を求め続けた人生でした。
光源氏の理想は藤壺の宮一人。
そこは生涯ブレなかった。
マメ・誠実
光源氏は恋多き男ですが、
冷たい性格ではなく、
一度関係を持った女性は長く面倒を見ようとします。
光源氏は、末摘花という
容姿の良くない女性と関係を持ったことがあります。
数年間、末摘花を放置しますが、
末摘花がずっと光源氏を待っていたことを知り、
その誠実さに心を打たれ、以降生活支援をします。
花散里という女性も
あまり美人ではありませんが家庭的な人です。
光源氏は花散里を六条院に住まわせ
生涯大事にします。
光源氏は女たらしなのだが、
一度関係を持った女性の面倒は
責任をもって最後まで見る。
とても誠実な面を持ち合わせているのです。
強引
女性との関係においては
とても強引な性格で、
相手の意志とは無関係に男女のちぎりを
結ぼうとする傾向があります。
光源氏は非常に美しく、高貴で、
和歌や音楽の才能もあったので、
いつの間にか女性も光源氏に心惹かれてしまいます。
女性を口説く時に雄弁
光源氏は、気になった女性を口説く際には
非常に雄弁。よくしゃべります。
【源氏物語 原文】
源氏物語「帚木」の巻より引用
例の、いづこより取う出たまふ言の葉にかあらむ、あはれ知らるばかり、情け情けしくのたまひ尽くすべかめれど、
【現代語訳】
いつものように、どこから出てくる言葉なのだろうか、愛情が相手に伝わるように、優しく優しく、言葉を尽くして語っていらっしゃるが、
心を開かない女性や
怒っている女性などには
光源氏は本当によくしゃべります。
穏やかだが嫌味
物語中で光源氏は激高するシーンは
ありません。常に穏やかなのです。
正妻の女の三宮と柏木の密通を知ったときも、
柏木に皮肉を言うことはありますが、
怒鳴ることはありません。
女三の宮に対してもくどくどと
嫌味を言うのです。
光源氏は穏やかな性格だが、
多弁でねちっこい嫌味な性格。
光源氏の官位は?
光源氏は、
近衛中将⇒大将⇒大納言⇒内大臣⇒太政大臣
を経て、准太上天皇という厚遇を得ます。
光源氏は、臣籍降下した
身にも関わらず、
その神々しい美しさと豊かな才能と
不思議な威光により
上皇に準ずる地位を手に入れたのです。
光源氏の最期について<死因は?>
源氏物語には「雲隠」という
タイトルだけの巻があります。
もともとは本文があったが、
散逸してしまったという説と、
最初から本文が無かったという説があります。
この「雲隠」の巻を境に
光源氏没後の話になるため、
「雲隠」は光源氏の死を
暗示した巻ということになります。
「幻」の巻で、最愛の妻・紫の上を追悼し
出家を遂げた光源氏は、
「雲隠」で亡くなったのです。
「雲隠」には本文がないため、
光源氏の最期の様子や死因などは
わかりません。
漫画「あさきゆめみし」では
「雲隠」の巻の内容を作者の想像により
描いています。
光源氏の本名は?
光源氏は本名ではありません。
そして本名は、物語中で明かされません。
「桐壺」の巻で、以下のような記載があります。
世にたぐひなしと 見たてまつりたまひ、 名高うおはする宮の御容貌にも、 なほ匂はしさはたとへむ方なく、うつくしげなるを、 世の人、「光る君」と聞こゆ。藤壺ならびたまひて、御おぼえもとりどりなれば、「 かかやく日の宮」と聞こゆ。
「桐壺」の巻より引用
【現代語訳】
藤壺の宮の容貌は、世の中にまたとなく、評判高くおいでになる。その藤壺の宮の容貌と比較しても、源氏の君の美しさはやはり照り映えるようで、比べられないほど美しいので、世の中の人は、「光る君」とお呼び申し上げる。藤壺もお並びになって、帝からの御寵愛がそれぞれに厚いので、藤壺の宮を「輝く日の宮」とお呼び申し上げる。
「光り輝くように美しい」という意味で
源氏の君は、世間から「光源氏」と呼ばれるようになります。
「光る君という名前は、高麗人がお褒め申してお付けしたものだ」
という記述もあります。
物語中では、光源氏の本名は登場せず、
「光る君」「源氏の君」「光る源氏」
などと呼ばれています。
光源氏の顔立ちはどんなだった?イケメンって本当?
光源氏の顔立ちに関する記述を
源氏物語の中からいくつか抜き出してみましょう。
いとかうきびはなるほどは、あげ劣りやと疑はしく思されつるを、あさましううつくしげさ添ひたまへり。
源氏物語「桐壺」より引用
【現代語訳】
このようにとても幼い年齢では、髪上げしたら見劣りをするのではないかと御心配なさっていたが、光源氏は驚くほど可愛らしくなった。
白き御衣どもの なよらかなるに、直衣ばかりを しどけなく着なしたまひて、紐なども うち捨てて、添ひ臥したまへる御火影、いとめでたく、 女にて見たてまつらまほし。
源氏物語「帚木」より引用
【現代語訳】
白いお着物で柔らかなもの上に、直衣だけを気楽にお召しになって、紐なども結ばずに、寄り掛かって横になっていらっしゃるお姿は、とても素晴らしく、女にして見たいと思うほどだ。
年老いたる尼君たちなど、まださらにかかる人の御ありさまを見ざりつれば、「 この世のものともおぼえたまはず」と聞こえあへり。
源氏物語「若紫」より引用
【現代語訳】
年老いた尼君たちなどは、このようなお美しい人を見たことがなかったので、「この世の人とは思えない」と噂をしていた。
春宮の女御、かくめでたきにつけても、ただならず思して、「 神など、空にめでつべき容貌かな。うたてゆゆし」とのたまふを、 若き女房などは、心憂しと耳とどめけり。
源氏物語「紅葉賀」より引用
【現代語訳】
弘徽殿女御は、光源氏がこのように立派に見えるのを、不快にお思いになって、「神などが、空から魅入りそうな、容貌だわ。不吉だこと」とおっしゃる。若い女房は、嫌味だわと、聞きとがめるのであった。
御年の加はるけにや、ものものしきけさへ添ひたまひて、ありしよりけに、きよらに見えたまふ。
源氏物語「葵」より引用
【現代語訳】
お年をとられたせいか、光源氏は堂々たる風格が加わって、以前よりも美しくお見えになる。
光源氏の容姿の美しさは
物語中に何度も言及がありますが、
具体的な容貌についての表現はほとんどありません。
「帚木」の巻(源氏17歳)に
「頚(くび)細し」という表現があり、
太ってはいなかったとわかります。
「松風」の巻(源氏31歳)には、
「以前は痩せてすらっとしていたが
今は太って貫禄がある」
という記載もあります。
しかし、目がどうとか、
鼻がどうとかの記載は見られません。
とにかく非常に美しいということが強調されています。
光源氏の顔立ちの具体的な美しさは、
読者の想像に委ねられているのです。
「源氏物語画帖」や「源氏物語絵巻」など
後世の絵画には光源氏を含め、
全ての人物の顔は
引目鉤鼻という統一された様式で
描かれているので、
あまり参考になりませんね。
光源氏は神々しいほど美しい人なので、
紫式部は、具体的な顔立ちに
触れるのはかえって興ざめだと
思ったのかも知れませんね。
光源氏の女性関係まとめ
光源氏の女性関係について
主要なエピソードと巻名、光源氏の年齢を表にまとめました。
巻名 | エピソード | 光源氏の年齢 |
---|---|---|
桐壺 | 亡き母・桐壺の更衣にそっくりの藤壺の宮に初恋をする。葵の上と政略結婚する。 | 7~12歳 |
空蝉 | 空蝉と一度だけ契るが、以後拒まれる。なりゆきで軒端荻と契る。 | 17歳 |
夕顔 | 六条御息所と既に恋人関係になっている。 儚げな美人・夕顔と恋に落ちるが、夕顔は物の怪に襲われ亡くなる。 | 17歳 |
若紫 | 藤壺の宮に似た少女、若紫(紫の上)を引き取って養育する。 藤壺の宮と密通する。 | 18歳 |
末摘花 | 末摘花に興味を持って契るが、ブスだったのでガッカリする。 | 18歳~19歳 |
紅葉賀 | 藤壺の宮、光源氏との子を出産する。 高齢の女官・源典侍と遊びで契る。 | 19歳 |
花宴 | 朧月夜と出逢い、恋に落ちる。 | 20歳 |
葵 | 正妻・葵の上、六条御息所の生霊にとりつかれて、産後に亡くなる。 | 22歳 |
賢木 | 伊勢に下る六条御息所と別れる。 片思い中の朝顔の君と和歌を遣り取りする。 藤壺の宮が出家する。 朧月夜との密会が右大臣にバレる。 | 23歳~25歳 |
花散里 | 以前、関係を持った花散里を再訪する。 | 25歳 |
須磨 | 光源氏、須磨に流される。 | 27歳 |
明石 | 明石の君と恋人関係になる。明石の君、妊娠する。 | 27歳~28歳 |
澪標 | 明石の君、姫君を出産。 六条御息所死去。 六条御息所の娘を養女とする。 | 28歳~29歳 |
蓬生 | 末摘花を思い出して再訪。生活援助をする。 | 28歳~29歳 |
関屋 | 空蝉と再会、和歌を遣り取りする。 | 29歳 |
松風 | 明石の君、上洛して光源氏と再会。 | 31歳 |
薄雲 | 藤壺の宮、亡くなる。 | 32歳 |
朝顔 | 朝顔に求婚するが断られる。 源典侍と再会、和歌を詠み合う。 | 32歳 |
乙女 | 朝顔との結婚を諦める。 六条院が完成し、紫の上、花散里、明石の君、秋好中宮を迎える。 | 33歳~35歳 |
玉鬘 | 夕顔の娘、玉鬘を養女にする。 年末、紫の上と一緒に衣配りの案を考える。 明石の姫君、明石の上、玉鬘、花散里、末摘花、空蝉に衣を贈る。 末摘花、返歌をする。 | 35歳 |
初音 | 正月 六条院に住まわせている紫の上、明石の姫君、花散里、玉鬘、明石の君を訪問。 二条東院に住まわせている末摘花、空蝉を訪問。 | 36歳 |
胡蝶 | 養女・玉鬘に恋心を抱くが自制する。 | 36歳 |
常夏 | 養女・玉鬘への思いに煩悶する。結婚しようかと思う。 | 36歳 |
野分 | 嵐の後に、秋好中宮、紫の上、明石の上、玉鬘、花散里を見舞う。 | 36歳 |
藤裏葉 | 光源氏、准太上天皇の待遇を得る。 | 39歳 |
若菜上 | 朱雀院の皇女・女三の宮に興味を示し、正妻として結婚する。 子どもっぽいのでガッカリ。 | 41歳 |
若菜下 | 紫の上、病気になる。息をひきとるが蘇生。 女三の宮、柏木と密通して妊娠。 | 41歳~47歳 |
柏木 | 女三の宮、出産後に出家。 光源氏、狼狽する。 | 48歳 |
御法 | 紫の上、死去。光源氏の嘆きと後悔。 | 51歳 |
幻 | 紫の上、追悼。 光源氏、出家。 | 52歳 |
源氏物語は、第一部は
光源氏の恋愛と栄華を中心に描かれます。
第二部になると、息子世代のエピソードの
ボリュームが段々と多くなっていきます。
源氏物語のおすすめ現代語訳は、
こちらの記事で紹介しています。
まだ現代語訳にチャレンジしていない方は、
参考にしてみてくださいね。
現代語訳はちょっとハードル高い…
という方は、
漫画「あさきゆめみし」が入門編としておすすめです!
Q&A
Q.光源氏は実在する人物ですか?
A.
源氏物語は作り物語(フィクション)なので、
光源氏は実在する人物ではありません。
架空の人物です。
ただ、光源氏のモデルになったと
言われる人物は何人もいます。
(在原業平・藤原道長など)
Q.光源氏の妻は何人いますか?
A
光源氏の正妻は、生涯で2人でした。
(葵の上と女三の宮)
他に正妻格の側室として紫の上を
大切にしていました。
明石の君、花散里、末摘花、空蝉も
自邸にひきとって妻として面倒を見ていました。
正妻2人、
側室5人ということになります。
Q.光源氏が一番愛した人は誰ですか?
光源氏が一番愛した人は、紫の上です。
光源氏は義母の藤壺の宮を理想の女性として、
恋愛遍歴を繰り広げますが、
最終的には藤壺の宮の姪・紫の上を
最も愛します。
紫の上が亡くなった後は、
光源氏は絶望的な悲しみに襲われ、
出家をしてしまいます。
その後、亡くなったとされています。
この記事では、源氏物語の主人公
光源氏のクズエピソードや性格について
詳しく説明しました。
源氏物語は、読めば読むほど
研究すればするほどハマっていく
日本古典文学の最高峰です。
このサイトでは、他にも
色々源氏物語について解説しているので、
読んでいってくださいね。